Lesson14-3 自家焙煎の技術修得③ 手網焙煎の実践

ホームローストの第一歩・手網焙煎

焙煎のプロセスやポイントがわかったら、いよいよ実際に焙煎を行います。
ここではホームローストの第一歩である手網による焙煎方法を修得しましょう。

必要な道具

手網

焙煎中は10分〜20分の間振り続けるため、軽くて持ちやすいものを選びます。

ハンドロースター・手網の道具例

コンロ

手網焙煎では直接炎でローストするため、ガスコンロを使用します。
カセットコンロを使用すると、場所を選ばずにテーブルに座りながら焙煎することもできます。
もちろん、キッチンのガスコンロでも構いません。

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軍手

火傷防止のために必ず着用するようにしましょう。

タイマー

焙煎は時間を正確に計ることが大切です。
焙煎がうまくできた時の時間はしっかりと記録しておくことで、次回も再現できるようになります。
また失敗した場合にも、時間を正確に把握することで次回の改善点を検討しやすくなります。

クリップ

焙煎中に豆が飛び出してしまわないよう、蓋をクリップで留めておきます。

ドライヤー

焙煎直後のコーヒー豆を冷却するのに使います。豆が少量であればうちわで代用しても構いません。

金ざる

焙煎したコーヒー豆を入れて冷却します。豆が重なって冷却にムラができないよう、底が水平なものを選びましょう。

手網焙煎の手順

①手網に生豆を入れる

生豆を入れたら蓋を閉じ、クリップで留めます。
生豆の量は、手網が直径20cm、深さ5cmくらいなら、150g〜200gくらいが目安となります。

②コンロにかける

コンロを中火につけ、生豆を入れた手網を10〜15cmくらい炎から離れたところで常に振りながら煎ります。生豆全体が混ざり合い、均一に火が当たるように意識しましょう。

③白く変化しチャフが飛び始める

3分くらいすると生豆の水分が飛んで白っぽく変化しはじめ、チャフが激しく飛び始めます。

④蒸らし工程・チャフの飛散がとまり、キツネ色に変化する

10分くらいまでに概ね水分が抜け、チャフの飛散が止まり、豆はキツネ色になります。
硬い豆、肉厚の豆は水分の抜けが悪いので、蒸らし時間を長めにします。蒸らしがうまくいかない場合は、手網の蓋の部分にアルミ箔などを貼って空気の流れを少し遮断すると成功しやすくなります。

⑤1回めのハゼ

11分半〜15分くらいの間にパチパチという音の1ハゼが始まります。
1ハゼ直前で止めればライトロースト、1ハゼの途中で止めればシナモンロースト、1ハゼが終了した時点で止めればミディアムローストで、ここまでが約15分くらいです。

⑥2回めのハゼ

さらに焙煎を続けていると、すぐにピチピチという音の2ハゼがはじまります。
2ハゼ直前で止めればハイロースト、2ハゼが始まってすぐ止めればシティロースト、2ハゼのピークが終わりかけた頃で止めればフルシティ

この辺りからうっすらと油脂分がにじみ出てきて、2ハゼが完全に終わればフレンチ、豆に茶色っぽさが完全になくなり、黒くなればイタリアンです。

注意点

※火をつけてからは常に豆の状態(色、香り、シワ、ツヤ)をチェックし、ハゼ音のタイミングと合わせてタイマーで時間を確認しながら進めてください。
※後半は一気に豆の変化が進むので、目的の焙煎度を見逃さないように。
※焙煎中はチャフが飛び散り、煙も出ます。掃除がしやすく、換気の良い環境で行ってください。

⑦金ざるに開けて冷やす

焙煎を止めたら素早く金ざるに開け、ドライヤーかうちわで冷やします。冷却が遅れると予熱でも焙煎が進んでしまうため手早く行いましょう。
手でさわれるくらいまで冷めたら完了です。

⑧焙煎の具合を確認する

最後に1粒ピックアップして割ってみて、中心まで均一に火が通っているか確認します。
均一に火が通っていれば焙煎がうまくいった証です。

コーヒー豆の焙煎課程の断面/moddangfire/Shutterstock.com
コーヒー豆の焙煎課程の断面/moddangfire/Shutterstock.com

⑨一晩おいてから密閉容器に移して保存する

焙煎したコーヒー豆は一晩おいてから密閉容器に入れるようにします。
焙煎したばかりの豆は二酸化炭素を激しく放出していますので、
すぐに密閉してしまうとガスごもりを起こして風味に影響します。

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