Lesson14-2 自家焙煎の技術修得② 焙煎の基本手順

ここからはホームローストの基本的な手順を学習していきましょう。
コーヒーに限らず技術が伴う学習は全てそうですが、
実践するかどうかで理解度や上達度が格段に変わりますので、まずは実践してみましょう。

前ページの説明では、焙煎の技術は大変難しいものだとハードルが上がっているかもしれませんが、
実はホームローストは、きちんとした知識とコツさえ覚えてしまえば意外と簡単に行うことができます。

焙煎の基本手順

焙煎の概要

  1. コーヒーの生豆を10分〜20分ほど煎る
  2. 焙煎しながら豆の色の変化などを目で確かめ、時間や火力を調節する
  3. 焙煎が終わったら、余熱で焙煎が進んでしまわないよう、すぐに豆を冷やす

焙煎の工程概要を簡単に説明するとこのようになります。
思ったより簡単に行えそうな気がしませんか?
普通に焙煎するだけなら、慣れればすぐに出来るようになるので、安心してください。

焙煎において最も難しいのは、生豆の種類によって適切な焙煎度を使い分け、
香味をコントロールすることです。
これは焙煎に慣れてきたら意識するようにしましょう。

それでは、それぞれの工程について詳しく学習していきます。

焙煎の前後のハンドピック

m.iskandarov/Shutterstock.com
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美味しいコーヒーのための焙煎に必ず必要となるのが、焙煎前後のハンドピックです。
この工程を丁寧に行うかどうかで、コーヒーの風味やフレーバーが格段に変わります。

ハンドピックの役割①欠点を取り除く

近年は選別が行き届いている豆が多く、特にスペシャルティコーヒーなどは
欠点豆など問題ないものもありますが、通常の生豆を購入した場合には
多かれ少なかれ欠点(異物、欠点豆など)が混じっています。
欠点の割合は、一般的に多い場合でウォッシュト精製されたもので30%、
ナチュラル精製だと40%くらいと言われています。

欠点は1粒入っているだけでカップ全体のコーヒーの風味を台無しにします。
また焙煎の際に火の通りが悪くなり、煎りムラが起きる原因になることもあります。

ハンドピックの役割②粒の大きさを揃える

生豆の大きさが均一に揃っていることも、焙煎がうまくいくポイントです。

小さい粒が混ざっていても大きい豆が混ざっていても、
均一な焙煎が行えずにカップ全体のバランスをくずします。
ハンドピックでは、大きさが揃っていない粒も取り除くようにしましょう。

ハンドピックの役割③焙煎後の仕上げ

焙煎後のハンドピックをすることにより、カップクオリティが格段に上がります。

焙煎前では判別できなかった欠点が、焙煎を行うことで見えてくることもあります。
また焦げている豆や、焙煎が薄いものなどをハンドピックして取り除くことで、
豆全体のバランスを整えることができます。

ハンドピックは焙煎に欠かせない工程と位置づける

下記画像の上が質のよい生豆、下が取り除いた欠点豆です。
欠点豆には発酵豆、虫食い豆、カビ豆、未熟豆、黒豆、死豆、などが含まれます。

面倒で地味な作業のように感じられるハンドピックですが、
丁寧なハンドピックはホームローストの美味しいコーヒーには欠かせません。
コーヒーの風味が格段に良くなるので、ハンドピックも焙煎の工程のひとつとして
考えるようにしましょう。

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「水抜き(蒸らし)」の重要性

火をかけている間のプロセスは大まかに2段階あります。
前半が豆に含まれた水分を飛ばす段階、後半に本格的な豆を煎る焙煎のプロセスに入ります。

前半の水分を飛ばすプロセスは「水抜き」「蒸らし」などと言われています。
これは後半の焙煎で煎りムラが起きないようにするための工程です。

水抜き(蒸らし)

豆を煎りながら、空気の流れを少し止めることにより、全体の保水量を均一に保ったまま水分を飛ばしていく作業。

水抜きは最初の8〜10分くらいまでで、
この水抜きがうまくいかないと後半の焙煎も失敗しやすくなります。
表面だけが焙煎されて、中は生焼けになってしまうことがあるため注意しましょう。

「色」「ハゼ音」「チャフ」「シワ」「油脂」は焙煎の道しるべ

焙煎が問題なく進んでいるかを確認する道しるべとして
「色」「ハゼ音」「チャフ」「シワ」「油脂」などに注目します。

火をつけると、3分くらいで薄緑色だった生豆が白っぽくなり、
豆の表面についていた薄皮(チャフ)が激しく飛び始めます。
そして豆の表面にシワがよってきます。これらは全て水抜きがうまくいっている証拠です。
チャフが飛び散るのは豆の水分が抜けて縮んだからです。

さらに火が通ると薄黄色からキツネ色へと変化していきます。
焙煎が進むと茶色が濃くなってゆき、最後は黒へと変化していきます。

豆は最初の8〜10分まではシワがより縮んでいきますが、
その後は豆の内部で二酸化炭素が発生することで、豆が膨張をはじめ、パチパチと音が鳴り始めます。この音を「ハゼ音」と言います。
ハゼは2回あり、最初のハゼ音はパチパチ、2度目のハゼ音はピチピチと鳴ります。
2度目のハゼ音が聴こえる頃には二酸化炭素の放出で豆の内部に空洞ができ、
豆の表面にあったシワは伸びきり、ふっくらとしてきます。

さらに焙煎が進むと、豆の表面に油脂分がにじみ出て、ツヤが出てきます。

以下に焙煎の進行を表にまとめましたので、焙煎をするときの指針にしてください。
それぞれの段階で正しい現象が起きれば、そこまでは焙煎がうまくいっている証拠です。

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