コーヒーの健康効果とは
コーヒーは健康に悪い?
かつてシリアルの発明者であり、健康食品の教祖ともいえるケロッグ博士は、
コーヒーは動脈硬化や心臓病、脳卒中などを引き起こし、老化を早めるとして批判し、
法律で禁止すべきだと主張しました。
その他にも、コーヒーはこれまで様々な病気や体調不良の原因と結び付けられてきました。
しかし最近の研究では、コーヒーはむしろこれらの病気の予防になる、
体に多くのメリットをもたらしてくれる良い飲み物であることがわかってきています。
コーヒーは生活習慣病の予防になる
コーヒーの酸化防止効果
人間の体が老化する原因のひとつは「酸化」です。
人間は呼吸をすることにより体に酸素を取り入れ、エネルギーを作り出していますが、
これは同時に活性酸素を発生させ、老いに向かって進んでいることでもあります。
活性酸素の発生原因にアプローチするカフェイン
活性酸素を増加させる原因には様々な要素があります。
- ストレス
- 紫外線
- 喫煙
- 過食
- 過度な飲酒
- 食品添加物・大気汚染
- 運動不足
- 激しい運動・・・など
このうち、運動不足やストレスに対して、コーヒーのカフェインは人間を活動的にし、
運動能力を高め、またコーヒーの香りは人間をリラックスさせ、
ストレスを軽くしてくれるというメリットがあります。
酸化を抑制するクロロゲン酸
さらに、この酸化に対して、抑制する効果がある物質として注目されている
抗酸化物質のポリフェノールの一つがクロロゲン酸です。
これらのコーヒーが持つ抗酸化作用は、
活性酸素が引き起こす様々な生活習慣病の予防に役立ってくれます。
がんの予防
がんは恐ろしい生活習慣病のひとつですが、
コーヒーを飲む人は飲まない人に比べ、がんの発生率が低下すると言われています。
中でも肝臓がんの予防効果に目覚ましい研究結果が出ています。
この統計結果によると、コーヒーを毎日飲む人は、
ほとんど飲まない人に比べて半分近く肝臓がんにかかる確率が減っています。

世界がん研究基金の研究結果
また、長らくコーヒーの飲用が
子宮体がん(子宮内膜がん)の発生リスクを減らすことが指摘されてきましたが、
2013年にがん研究の世界的権威であるイギリスの世界がん研究基金が、
「コーヒーの飲用が子宮体がんの発生リスクを低下させることはほぼ確定」であると報告しました。
これはコーヒーのクロロゲン酸の抗酸化作用に加え、インスリンの分泌を調整することで
糖の吸収を抑制し、子宮体がんのリスクとなる低アディポネクチンが改善される為、
と説明されています。
世界がん研究基金は同様に、乳がんや大腸がんの発生率も低くなると発表しています。
アメリカがん協会の報告
またアメリカがん協会はコーヒーを1日に4杯以上飲む人は、
全く、あるいはほとんど飲まない人と比べて49%口腔がんおよび咽頭がんにかかるリスクが
低くなると報告しています。
これだけがんの予防に目覚ましい統計が出ているコーヒーですが、
例外として膀胱がんは発生率が逆に上がっているという統計も出ています。
これはコーヒーの利尿作用に関係しているのではないかと思われます。
糖尿病の予防
がんと並ぶ恐ろしい生活習慣病が糖尿病です。
また、糖尿病の恐ろしさはそれ単体だけではなく、
がんの発生リスクを20%高めるという研究結果が出ています。
コーヒーはこの糖尿病の予防効果があります。
特にインスリンの作用不足によって引き起こされる「2型糖尿病」の予防に効果を発揮します。

上はコーヒーをほとんど飲んでいない女性を100%とした場合の、
糖尿病発生リスクをグラフにしたものです。
この統計をみると、コーヒーを飲めば飲むほど糖尿病の発生リスクは少なくなっていることがわかります。
コーヒーのクロロゲン酸は抗酸化作用によってインスリンの分泌を調整し、
血糖値の上昇を抑える働きがあります。
またカフェインは基礎代謝力を高め、脂肪の燃焼を促します。
コーヒーにはこのようにクロロゲン酸とカフェインとの相乗効果により、
人間の体に改善をもたらす効果がいくつか認められています。
認知症の予防
クロロゲン酸とカフェインの相乗効果としてもうひとつ挙げられるのが認知症の予防です。
認知症も不規則な生活や運動不足、食生活などの生活要因がもたらす生活習慣病のひとつです。
老人性認知症のひとつであるアルツハイマー病を患った人間の脳には
老人斑と呼ばれるたんぱく質の構造物が蓄積しています。
カフェインはこの老人斑を減少させることが解っています。
また、クロロゲン酸には抗健忘作用があり、この働きも認知症の予防効果につながります。
飲酒量が多い人へのメリット
「お酒をよく飲む人は適度にコーヒーを飲んだほうが良い」と聞いたことはあるでしょうか。
コーヒーのカフェインには頭痛を鎮め、利尿を促す作用があります。
また、クロロゲン酸には肝機能を回復させる働きがあります。
これらは二日酔いの回復に大きく役立ちます。
そのため、大量にお酒を飲んだ日や、普段からお酒をよく飲む方の健康維持にも
コーヒーは適度に飲んだほうが良いと言われています。
便秘の改善
コーヒーは大腸の蠕動運動を促し、便通を良くする効果があることが解っています。
なぜ便秘に効くのかははっきり解っていませんが、コーヒーのカフェインには利尿作用があり、
胃液の分泌を促す働きがありますので、これが原因なのではないかと考えられています。
しかし下痢気味の人が飲むと逆にお腹がゆるくなる可能性がありますので、
体質や体調によっては注意が必要です。
コーヒーを飲むと長生きできる!?
がんの項でも書きましたが、コーヒーはアディポネクチンという善玉ホルモンを
増やす働きがあることが、最近の研究結果でほぼ確実となっています。
このアディポネクチンはあらゆる生活習慣病の予防に役立ち、
長寿の方に血中濃度が高いことから、別名「長寿ホルモン」と呼ばれています。
現在アディポネクチンを増やすと思われる飲食物はコーヒー以外に確認されていません。
この点で、コーヒーは長寿ホルモンを増やす唯一の妙薬ということもできるでしょう。

その他、コーヒーはこれだけの病気の予防になる
これまで代表的なコーヒーの効果を挙げてきましたが、
これらの他にもパーキンソン病、脳卒中、動脈硬化、痛風など、
コーヒーは様々な疾患への予防効果が世界的に研究され、認められています。