自家焙煎とは
コーヒーのカッピングやフードとのペアリング、そしてブレンド理論について学習してきました。
ここでは、コーヒーの世界をさらに広げる「自家焙煎」について学習していきましょう。
自家焙煎(ホームロースト)とは、生豆を購入し自分の手で焙煎を行うことです。
コーヒーは主に焙煎度によって味が大きく分けられるため、豆に最適な焙煎を行えることや、
自分の好みの度合いの焙煎を行えることは、コーヒーの世界をさらに一歩広げる事に役立ちます。
また自分のお店を持つこと、おいしいコーヒーを提供することを視野に入れている場合には
欠かせない技術となります。
専門の大きなマシンを使用した焙煎についてはLesson4ですでに学習しました。
ここでは、カッピングと合わせて、まずは少量から家庭でも可能な
ホームローストをおこなって行きましょう。
自家焙煎(ホームロースト)のメリット
- いつでも焙煎したての新鮮な豆でコーヒーが楽しめる
- 自分の好みの焙煎度でローストできる
- 用途やフードに合わせて、自在にコーヒーのテイストを変えられる
- 予めローストされた豆よりも生豆のほうが低コストである
- 豆や焙煎など、コーヒーに対する知識がより深まる・・・など
このような様々なメリットがありますが、焙煎は手間がかかるため
メリットだけでホームローストを続けることは難しいでしょう。
しかし、かけた手間や試行錯誤の分だけ、得られるものがあります。
- 焙煎がうまくいった時の達成感
- 自分で焙煎したコーヒー豆で淹れた一杯のコーヒーをすする喜び
- 焙煎度を変えることでコーヒーの味わいを自由に操るおもしろさ
これこそがホームローストをする最大の価値だとも言えるでしょう。
自宅で出来る様々な焙煎方法
ホームローストの方法は「手網」「手回しロースター」「小型焙煎機」
「陶器製焙煎器(焙烙)」など幾つかの選択肢があります。
新しい道具を買わずに手軽にやってみたい、という方は、
家にある中華鍋やフライパンなどでも豆を煎ることは可能です。
また、生豆と焙煎道具が揃った焙煎セットなども市販されています。
手廻しロースター
火力の調節ができないので、初心者が扱うにはち少し慣れが必要です。
陶器製の焙煎道具
胡麻や茶葉を煎る焙烙をコーヒーに応用したものです。
熱がじっくりと伝わるというメリットがあります。
500g用の小型焙煎機
ユニークな形でインテリアにもできるような焙煎機は、
趣味を極めるには心くすぐられるものでしょう。
自動で焙煎できるマシンは比較的小型でも価格がぐっと上がるため、
購入する場合には使用用途や使用頻度などをよく考慮するようにしましょう。
フライパンでの焙煎

最初に記載したように、フライパンでも焙煎は可能です。
最も古い焙煎方法で、エチオピアのカリオモンというコーヒーセレモニーでは
現在もこの方法で焙煎がおこなわれています。
手軽さがメリットですが、煎りムラが起きやすい上、
焙煎中ずっとしゃもじをかき回し続けていなければならないという手間がかかります。
生豆の産地による焙煎の難易度
ホームローストはコーヒー好きなら一度は興味をひかれる方が多い技術の一つですが、
自己流でスタートしてしまい、失敗ばかりで難しくすぐ挫折した、という方も多いのが実情です。
そのような事がないように、しっかりとポイントを押さえましょう。
焙煎成功のポイント①生豆の選択
焙煎に挑戦する上でまず重要になるのが、生豆の選択です。
水分の含有率が多く肉厚な生豆ほど、中まで火が通りにくく焙煎が難しくなります。
逆に乾いていて粒が小さいものほど簡単で、失敗がありません。
また、全体を均一にムラなく煎りあげるためにも、粒の大きさが揃っていることも重要です。
Lesson1-4でクロップについて学習しましたが、オールドクロップはニュークロップに比べて
水分が飛んでいるので、焙煎がしやすくなっています。
最も難しいのはコロンビアです。
コロンビアがうまく焙煎できるようになれば、どんな豆でも焙煎できるようになったと言っても
過言ではありません。
まず最初は、とにかく小粒の豆を選んでみることから始めましょう。
焙煎しやすい生豆の特徴
- 粒が小さいもの
- 乾燥しているもの
- オールドクロップ・・・など
初級〜上級までの生豆の選択
初級者向けの豆
- メキシコ・アルトゥーラ
- ジャマイカ
- ブルーマウンテン No.1
- ブラジル・サントス No.2
- キューバ・クリスタルマウンテン
中級者向けの豆
- モカ・マタリ
- コスタリカSHB
- マンデリン
- タンザニアAA
上級者向けの豆
- コロンビア
- マラゴジッペ
- ケニアAA
- ハワイコナ
見た目での識別

焙煎の難しいコロンビア・スプレモ、比較的簡単なブラジル・サントスの生豆など、
ポイントがわかれば見た目でもある程度は判断がつくようになります。
ふっくら肉厚で水分が多いと焙煎が難しく、小粒で乾燥している方がやりやすくなります。