現在コーヒー豆は世界60カ国以上で生産されています。
生産国によって栽培しているコーヒー豆の主な品種、気候や土壌などの自然環境、歴史的経緯、
それに伴う栽培方法、精製処理方法などが異なり、各国の特色を打ち出しています。

生産国と銘柄
生産国名=銘柄から、様々な要素の付加へ
コーヒー豆の銘柄名として最もよく使われるのが
「ブラジル」「コロンビア」「グアテマラ」などの生産国名です。
ただし例外として「マンデリン」「キリマンジャロ」「モカ」など、
昔からよく使われる銘柄名で生産国名ではないものもいくつかあります。
例えば「マンデリン」はインドネシア産のことで、スマトラ島の民族名からとったもの。
「キリマンジャロ」はタンザニア産のことで、タンザニアの北東部にそびえ立つ山の名前に由来しています。
「モカ」は15〜17世紀にコーヒー貿易の港として栄えたイエメンの「モカ港」に由来しており、
モカ港からは当時対岸だったエチオピアのコーヒーも出荷されていましたので、
エチオピア産とイエメン産、両方の銘柄名として使われています。
しかし、これらの生産国名や生産地域に関わる銘柄だけでは、
多種多様な味わいを求める最近の時代のニーズには合わなくなってきました。
そこで現在では様々な要素がこれらの銘柄名に付加されています。
コーヒーの銘柄も多種多様の時代へ
スペシャルティコーヒー・ムーブメントに象徴されるように、
最近では個性がはっきりしていて、その背景が明確に打ち出されているコーヒーがもてはやされるようになりました。
例えば「モカ」だけでは、エチオピア産なのかイエメン産なのか、
またはその両方をブレンドしたものなのかがわかりません。
そこで最近は、イエメン産は「モカ・マタリ」、エチオピア産は「モカ・ハラー」や「モカ・シダモ」など、より具体的な地名をつけて販売されています。
このように、コーヒーの銘柄で生産国名に付加する要素としては次のようなケースがあります。
- 地名を付け足したもの:「グアテマラ・ウエウエテナンゴ」「ドミニカ・ハラバコア」など
- グレードを付け足したもの:「コロンビア・スプレモ」「ハワイコナ・エキストラファンシー」など
- 品種名を付け足したもの:「ブラジル・ムンドノーボ」「エルサルバドル・パカマラ」など
- 農協名を付け足したもの:「ルワンダ・マラバ」「ケニア・テグ」など(主にアフリカ産)
- 精製法を付け足したもの:「エチオピア・ウォッシュト」「ニカラグア・ナチュラル」など
- 農園名を付け足したもの:「パナマ・エスメラルダ」「ブラジル・モンテアレグレ」
次のページからは、主要なコーヒー豆の生産国の特色と主な銘柄をエリア別に学習していきます。