中南米エリア
コーヒー生産の中心地帯です。
合計すると全世界の半分以上のコーヒー生産量を担っており、
そのうちコーヒー生産大国ブラジルだけで全世界の3割、
それに次ぐコロンビアを合わせるとほぼ全世界の生産量の半分近くに達します。
残りの国も小規模ながら質の高いアラビカ種を中心にコーヒーを生産しています。
味の特徴としては、苦味と酸味のバランスが良く、
ブレンドやストレートに幅広く親しまれているコーヒー豆を多く産出しています。
南米エリア①
- ブラジル
- コロンビア
- グアテマラ
ブラジル
世界最大のコーヒー生産国にして、世界最大の輸出国がブラジルです。
近年カフェブームが巻き起こり、コーヒーの国内消費量も上がっており、
今やドイツ・日本を抜いてアメリカに次ぐコーヒー消費国でもあります。

歴史
18世紀半ばにリオ・デ・ジャネイロでコーヒーの栽培が始まってから
急速にコーヒー生産が盛んになり、その後サンパウロからパラナへと
栽培の中心は移動していきましたが、
霜の被害で各地のコーヒー農園が大ダメージを負い、霜の少ない北へと産地が移動していきました。
現在は北部のミナスジェライス州が最大の生産地となっています。
特徴
栽培品種はムンドノーボやブルボンなどのアラビカ種が中心ですが、
ロブスタも全体の2割ほど生産されています。
精製方法は9割がナチュラルですが、近年システム化が進み、
大規模な農場では乾燥に天日ではなく乾燥機を使うところや、一部でウォッシュトも増えてきています。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:ブルボン、ムンド・ノーボ、カトゥアイ
- 主な精製方法:ナチュラル
- 主な産地:ミナス・ジェライス州、サンパウロ州
- 主な豆の銘柄と味:
- [ブラジル・サントス No.2]香ばしく、バランスの良い苦味と酸味。ブレンドのベースに最適。
- [ブラジル・モンテアズール No.2]香りと味わい豊かなブルボン品種。ストレート向き。
- [ブラジル・ムンドノーボ]ウォッシュト精製ならではのすっきりとした酸味とほどよい苦味。
パッセイオ農園
ミナス・ジェライス州のスルデミナス地区にあるパッセイオ農園。
オーナーのフェレイラ氏は三代に渡ってコーヒー生産に従事しており、
熟練した従業員を揃えてほとんど手作業で栽培を行っています。
栽培品種はムンドノーボ、カトゥアイ、ブルボンなど。
精製方法はナチュラルとパルプトナチュラルが中心です。

コロンビア
コロンビアは国土の3%がコーヒー農園で、主に標高1000m〜2000mの高地で栽培されている、
中南米でブラジルに次ぐコーヒー生産国です。

歴史
18世紀半ばからコーヒー栽培が全国に広まりましたが、
病害虫対策と生産性向上で品種の改良や植え替えが盛んに行われ、
一時は品質が著しく低下しました。
1927年に「コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)」が設立されてからは、
コーヒーの栽培から流通までを厳しく管理するようになり、品質が向上しています。
特徴
小規模のコーヒー農園が多く、生産者は全てFNCに加盟することが義務付けられ、
苗木や肥料の提供、農薬の管理、栽培方法の講座、出荷される生豆の最終チェックまで、
FNCから派遣されてくるアドバイザーの指導のもとに、品質を維持されています。

近年ではスペシャルティコーヒーの取り組みにも積極的で、個性あるコーヒー豆が増えています。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:カトゥーラ、バリエダコロンビア(略称:コロンビア種)
- 主な精製方法:ウォッシュト
- 主な産地:トレド村、サンタンデル県ブカラマンガ市近郊
- 主な豆の銘柄と味:
- [コロンビア・スプレモ]上位グレードの大粒豆。ヘーゼルナッツのような香り、ほどよい酸味とコク。
- [コロンビア・マラゴジッペ]大粒で肉厚なマラゴジッペ品種。豊かな酸味、やわらかな口あたり。
- [エメラルドマウンテン]カップテストで厳選された高級豆。フローラルな香り、酸味・苦味・甘味のバランス。
コロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)
FNCはより多くの人々にコロンビアコーヒーを知ってもらうことを目的に、
フアン・バルデスという農夫のキャラクターを創造し、世界各地の広告や各種媒体に登場させています。
バルデスは100%コロンビアコーヒーの品質を保証するロゴマークにも使われ、
2002年からは「ファン・バルデス・カフェ」というカフェのチェーン展開まではじまりました。
2007年から三代目バルデスを演じている俳優のカルロス・カスタニェーダとラバのコンチータ。
コンチータはバルデスが収穫した(という設定の)コーヒー豆の麻袋を背負っています。
グアテマラ
グアテマラは8つの地域でコーヒーが生産され、
大中小規模の農園が多種多様のコーヒーを生産しています。

歴史と特徴
1750年にイエズス会の修道士が苗木を持ち込み、コーヒー栽培が始まりました。
19世紀後半にビスマルクの軍事政策から逃れてやってきたドイツ移民によって産業化が進み、
自前で精製処理まで行う大規模な農園が次々と誕生しました。
1969年に全国コーヒー協会(通称:アナカフェ)が発足し、
土壌や気候の分析を行うなど理想的なコーヒー栽培環境を研究、
その成果を農家に提供して品質の向上に務めています。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:ブルボン、カトゥーラ、カトゥアイ、パカマラ、マラゴジッペ
- 主な精製方法:ウォッシュト
- 主な産地:アンティグア、ウエウエテナンゴ、アティトラン、フライハーネス、コバン、サンマルコス、ニューオリエンテ、アカテナンゴ
- 主な豆の銘柄と味:
- [グアテマラ・ウエウエテナンゴ]フルーティーな香り、強めの酸味、チョコレートのようなコク。
- [グアテマラSHB]標高1350m以上で栽培される最高グレード銘柄。豊かな香り、リッチな味わい。
アンティグア
コーヒー生産8大地域の中でもコーヒー生産の歴史が最も古いアンティグアは、
周囲をアグア火山、アカテナンゴ火山、フエゴ火山に囲まれた標高1500mの高地にあり、
高品質なコーヒーの産地として有名です。
アンティグアのラ・フォリー農園では、数年前にアンティグアコーヒー協会のセラヤ氏が
農園管理を任されるようになってから収穫量が5倍近くに伸び、
スペシャルティコーヒーの産地として評価を得ています。