中南米エリア②
- ジャマイカ
- エルサルバドル
- コスタリカ
- パナマ
ジャマイカ
最高級コーヒーブランドの元祖とも言えるブルーマウンテンを生産しているのがジャマイカです。

歴史
1953年にジャマイカ政府によって創設されたコーヒー産業公社(CIB)が
コーヒーの品質や輸出をすべて管理しており、
世界で初めて産地によるコーヒーのブランドを確立しました。
特徴
ブルーマウンテンはCIBによって厳しく規定されています。
ブルーマウンテン地区の標高800m〜1200mで栽培され、
指定の処理施設で精製されたコーヒーのみブルーマウンテンを名乗ることができるのです。
標高800m以下で栽培されたものはハイマウンテンと呼ばれ、ブルーマウンテンに次ぐ高級ブランドとして知られています。

栽培品種は伝統的なティピカが95%。
ティピカは病害虫に弱いので他の国ではほとんど改良品種に植え替えられましたが、
品質にこだわるジャマイカはティピカの栽培を続けています。
ブルーマウンテンが高価なのも頷けます。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:ティピカ
- 主な精製方法:ウォッシュト、セミウォッシュト
- 主な産地:ブルーマウンテン地区
- 主な豆の銘柄と味:
- [ブルーマウンテンNo.1]最高級ブランド。気品高いフローラルな香り、まろやかなコクと甘味。
- [ハイマウンテン]品のある香り、ほどよい酸味。
- [ハイマウンテンピーベリー]豊かな香り、まろやかな口あたり。
ウォーレンフォード農場
最高級のブルーマウンテンを生産しているウォーレンフォード生産会社によって運営されているウォーレンフォード農場。
ウォーレンフォードはもともと政府の所有でしたが、現在は民営化されています。
エルサルバドル
エルサルバドルは中南米で最も小さな国ですが、収穫量は多く、
スペシャルティコーヒーでも高い評価を得ています。

歴史
1980年の内戦によって生産量が激減しましたが、
そのことによって他国のような新しい栽培品種の植え替えがほとんど行われず、
伝統的なブルボンの栽培が現在でも7割近く残っています。
特徴
ブルボンの突然変異種であるパカスがエルサルバドル特有の品種として知られていましたが、
そのパカスとマラゴジッペを交配させたパカマラが新たに注目を集めています。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:ブルボン、パカス、パカマラ
- 主な精製方法:ウォッシュト
- 主な産地:サンタアナ、ウスルタン、ラリベルタ
- 主な豆の銘柄と味:
- [エルサルバドルSHG]なめらかな酸味、ミカンや桃のような風味。
- [エルサルバドル・パカマラ]すっきりとした酸味と苦味、まろやかな甘味。
ビジャガリシア農園
ビジャガリシア農園は、サンタアナで5つのコーヒー農園を経営する
サルベイラ氏のディビサデロ農園グループのひとつ。
最高水準の精製技術を誇り、産出されるコーヒー豆は品評会でも高い評価を得ています。
エルサルバドルのウォッシュト精製技術の高さは定評があります。
コスタリカ

歴史
コスタリカは1729年にキューバから苗が持ち込まれ、コーヒー栽培がはじまりました。
特徴
政府とコーヒー業者で組織されているコスタリカコーヒー協会(ICAFE)が国内のコーヒー生産を全面的にサポートしています。
栽培する品種もしっかり管理され、ロブスタ種の栽培は法律で禁止されています。
生産の質の向上だけでなく、環境破壊を最小限に減らす活動も同時に行っており、
エコに対する意識の高さがわかります。
コーヒー農園は小規模なものが多く、8万件のコーヒー農園のうち9割が中小規模農園です。
2000年あたりから複数の農園が共同で出資して小規模のウォッシュト精製処理場「マイクロミル」を作るケースが増え始め、現在マイクロミルの数は150件を越えています。
最近では協同組合が輸出まで行うケースも出てきて、
個性的なコーヒーが多く流通し、スペシャルティコーヒーの産地として注目されています。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:カトゥーラ、カトゥア、ヴィジャサルチ
- 主な精製方法:セミウォッシュト、ウォッシュト
- 主な産地:タラス、セントラルバレー、ウエストバレー、トレスリオス
- 主な豆の銘柄と味:
- [コスタリカSHB]豊かな酸味、熟した果実のような甘味。
- [コーラル・マウンテン]最高級ブランド。上品な酸味、まろやかな甘味とコク。
- [コスタリカ・カフェボニータ]強い酸味、やわらかな苦味
マイクロミル
標高1700mのウエストバレーにマイクロミル施設があります。
高品質なコーヒー豆を生産しているサンタルシア有機農園など、
十数件以上の近隣の農園が利用しています。

パナマ
ゲイシャのブームによって一気にコーヒー生産国として注目を浴び、
ますますスペシャルティーコーヒーへの取り組みが盛んになっているのがパナマです。

歴史
19世紀後半、ヨーロッパの移民によってコーヒー栽培がはじまりました。
特徴
コーヒー生産の中心はチリキ県ボケテ地区、
特に標高1000〜2000mのバル火山周辺に質の高いコーヒー農園が集中しており、
深い霧によってもたらされる特殊な気候によって、
独特の香味を持ったコーヒー豆が生産されています。
コーヒーデータ
- 主な栽培品種:カトゥアイ、カトゥーラ、ゲイシャ、ティピカ
- 主な精製方法:ウォッシュト、ナチュラル
- 主な産地:チリキ県
- 主な豆の銘柄と味:
- [SHBボケテ]ほどよい酸味と苦味。
コトワ農園
ボケテ地区のコトワ農園。1913年にカナダから移住してきたマッキンタイアー氏によって創設され、
現在は三代目のコイナー氏が経営。
品種はカトゥーラやカトゥアイの栽培が中心でしたが、
最近はゲイシャの栽培もはじめ、品質の高いコーヒーを生産しています。