Lesson2-5 コーヒーの生産国と銘柄【中南米エリア】③

中南米エリア③

  • ニカラグア
  • ドミニカ共和国
  • ホンジュラス
  • キューバ共和国

ニカラグア共和国

中央アメリカ中部に位置するラテンアメリカの国です。

歴史

ニカラグアは19世紀カトリックの宣教師が
コーヒー栽培を伝えてからコーヒー栽培がはじまりました。

2013年にはサビ病の深刻な被害に襲われ、
国内のコーヒー生産の三分の一が打撃を受けましたが、
2014年には復活のきざしをみせています。

特徴

主な生産地は中西部の山岳地帯で、特にヒノテガ、マダガルパには大規模な農園が集中しています。
最近はヌエバ・セゴビアが新たなコーヒー産地として注目されてきており、
小規模ですが個性豊かなスペシャルティコーヒーが数多く産出されています。

Simon Dannhauer/Shutterstock.com
Simon Dannhauer/Shutterstock.com

コーヒーデータ

  • 主な栽培品種:カトゥーラ、カトゥアイ、マラゴジッペ、パカマラ、ブルボン
  • 主な精製方法:ウォッシュト
  • 主な産地:ヒノテガ、マダガルパ、ヌエバ・セゴビア
  • 主な豆の銘柄と味:
    • [ニカラグアSHB]さわやかな柑橘系の酸味。
    • [ニカラグア・マラゴギーペ]マラゴジッペ品種。芳醇な香り、ほどよい酸味と苦味と甘味。

ヒノテガのル・レクレオ農園

標高1200mの山岳地帯に147ヘクタールのコーヒー農園を所有し、
ここで常時30家族、計200名の従業員が働いています。
コーヒーの首都」とも言われるヒノテガは大農園が多く、
約4割の農園がこのように100ヘクタール以上の規模でコーヒー栽培を行っています。

ドミニカ共和国

小さな国土に標高2000m以上の山が多く、全人口の7割が農業を営んでいます。
中でもコーヒーは砂糖に次いで収穫量の多い農産物となっています。

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歴史

1735年にマルティ二ーク島のティピカが持ち込まれ、中南米でもとりわけ早い時期にコーヒー栽培がはじまりました。

特徴

代表的な産地は北部のシバオと、南部のバラオナです。

シバオは大規模な農園が多く、産出されるコーヒー豆はコクのある味わいが特徴で、
品種はティピカからカツゥーラに植え替えが進んでいます。
バラオナは小規模な農園が多く、コーヒー豆はソフトな風味が特徴。
品種はまだティピカが多く残っています。

ドミニカ共和国 Jorg Hackemann/Shutterstock.com
ドミニカ共和国 Jorg Hackemann/Shutterstock.com

コーヒーデータ

  • 主な栽培品種:ティピカ、カトゥーラ
  • 主な精製方法:ウォッシュト
  • 主な産地:シバオ、バラオナ
  • 主な豆の銘柄と味:
    • [ドミニカ・ハラバコア]シバオのハラバコア地区産。強い酸味、濃厚な風味。
    • [ドミニカ・バラオナ]安定した酸味とコク。ブレンド用にも適している。

ドン・ヒメネス農園

カリブ海域で最高峰を誇るデュアルテ山の標高1300mの山肌に位置するドン・ヒメネス農園。フルーティーな酸味の奥にしっかりとした甘みが感じられる高品質のコーヒーを生産しています。

ホンジュラス

日本ではまだあまり馴染みがありませんが、
ホンジュラスは年間のコーヒー輸出量が2万トン以上にものぼるコーヒー産業が盛んな国です。

特徴

実に国土の3割が標高1000m以上、7割近くが山岳地帯というコーヒー栽培に適した環境に恵まれ、
標高の高さでグレードが決められています。

小規模な農園が多いですが、近年ますますコーヒー産業は盛んになってきています。

コーヒーデータ

  • 主な栽培品種:カトゥアイ、ブルボン
  • 主な精製方法:ウォッシュト
  • 主な産地:サンタ・バルバラ、マルカラ、コパン、コマヤグア、チョルテカ
  • 主な豆の銘柄と味:
    • [ホンジュラスSHGマルカラ]芳醇な香り、まろやかな味わい。ブレンドに使うと独特の酸味がアクセントに。
    • [ホンジュラス HG]マイルドで軽やかな口あたり。

マルカラ地区の堆積土壌

エルサルバドルとの国境付近にあるマルカラ地区は堆積土壌という特色から、
火山性土壌よりまろやかな味わいのコーヒー豆が育ちます。

キューバ共和国

キューバはカリブ海の大アンティル諸島に位置する、ラテンアメリカの共和制国家です。

歴史

キューバのコーヒー生産の歴史は19世紀、ハイチが独立して居場所を追いやられた
フランスの農園主たちがキューバに逃れてきてからはじまります。

彼らは最初、南東部のマエストラ山脈麓を農地として開拓していきましたが、
まったくの未開の森林地帯での農地開発には困難を伴い、
その後徐々に南東部での農業は廃れ、コーヒー栽培の中心は現在の中西部へと移行していきました。

特徴

コーヒーの生産地は中部から西部にかけての山岳地帯が中心です。
小規模な農園が多く、アラビカ種だけでなく、ロブスタ種も栽培されています。

キューバのコーヒー農園 Patricia Hofmeester/Shutterstock.com
キューバのコーヒー農園 Patricia Hofmeester/Shutterstock.com

カリビアンコーヒーの最高級銘柄クリスタルマウンテンは、
栽培されているエスカンブライ山脈が水晶の産地であったことから名付けられました。

コーヒーデータ

  • 主な栽培品種:カトゥラ、ティピカ、カトゥアイ
  • 主な精製方法:ウォッシュト
  • 主な産地:中西部
  • 主な豆の銘柄と味:
    • [クリスタルマウンテン]大粒。クリスタルのような澄んだ味わい、上品な酸味と苦味。
    • [キューバAL]マイルドな酸味と苦味。ブレンドのベースにも。

ユネスコ世界遺産に登録された南東部のコーヒー農園跡

この地は、カリブ海およびラテンアメリカ地域の初期農業開発の歴史的証拠として貴重な景観を有し、2000年にユネスコ世界遺産に登録されました。
指定された地域に171カ所ものコーヒー農園の遺跡があり、
当時の農地開発の技術や、その経済的意義の大きさが伺えます。