どんな豆を選んだらよいのか
前Lessonでコーヒーを買うならコーヒー専門店でコーヒー豆を買うのがベストと学習しましたが、
では具体的にどんな豆を選んだらよいのかも合わせて学んでいきましょう。
①銘柄で選ぶ
銘柄から産地やグレードを読み取るのがひとつめの選び方です。
銘柄の読み方はざっと触れましたが、ここではもう少し詳しく学んでいきましょう。
グレードや銘柄の基準
スペシャルティコーヒーのムーブメントが始まるまでは、
コーヒーのグレードを決めるのは各国が独自に定めた基準しかありませんでした。
しかしそれでは極端に言うと、ある国が最高級グレードと定めた品質と同じようなものが、
ある国では最低グレードだった、ということもあり得たということです。
スペシャルティコーヒームーブメントにより、これまでの基準とは異なる区分が誕生しました。
スペシャルティコーヒーとは、あくまでもコーヒー好きな人たちの立場で、
美味しいコーヒーの基準を決めようというところが出発点です。
ここで、スペシャルティコーヒーを頂点とする新たなコーヒーの区分を見てみましょう。
新しいコーヒーの区分

上のピラミッドは市場に流通しているコーヒーを大きく4つの階級に分類して整理したものです。
- 「スペシャルティコーヒー」・・・、美味しいだけではなく、生産地域の気候や土壌ならではの個性的な味わいを持っていることが重要になっている。
- 「プレミアムコーヒー」以上のグレード・・・生産地や生産者などのトレーサビリティーが明確になっていることが重要になっている。
- 「コマーシャルコーヒー」・・・一般に広く流通しているコーヒーにあたる。
このピラミッドの区分は、コーヒーの美味しさだけで明確になされているわけではありません。
コマーシャルコーヒーとは「品質がそれなりに高いコーヒー」、
プレミアムコーヒーとは「高品質で、トレーサビリティーが明確なコーヒー」、
スペシャルティコーヒーとは「高品質かつトレーサビリティが明確で、個性的な味わいを持ったコーヒー」などをさします。
それぞれについてもう少し詳しく学んでいきましょう。
スペシャルティコーヒー
Lesson8で詳しく学習しますが、スペシャルティコーヒーとは
「トレーサビリティーが明確で、品質が高く、産地ならではの個性的な味わいを持ったコーヒー」
のことをさします。
具体的な定義は以下の項目を満たしていることが条件となります。
- トレーサビリティー(生産者、生産地、輸出規格など)が明確であること
- コーヒーの各生産国が独自で設けている高い基準を満たしていること
- スペシャルティコーヒー協会が定める高水準を満たしていること
例)ブラジル No.2・カルデモナミス・N.S.カルモ農園
コロンビア・スプレモ・サンタンデール・オズワルド農園
プレミアムコーヒー
自家焙煎コーヒー豆専門店などで扱っているコーヒーがこれに分類されることが多くなります。
トレーサビリティーはある程度は明確で、
各国が独自で設けているグレードの高い基準を満たしているものを指し、
スペシャルティコーヒー協会が定める基準の80点を満たしていないものも含まれています。
- 国名、産地名、農園名などが特定されていること
- コーヒーの各生産国が独自で設けている高い基準を満たしていること
例)ブラジル No.2・ミナスジェライス
コロンビア・スプレモ・サンタンデール
コマーシャルコーヒー
「コモディティコーヒー」「メインストリームコーヒー」などとも呼ばれ、
産地規格だけでパッケージされているコーヒー豆など、
日本で一般的に流通しているコーヒーはほとんどがこれにあたります。
このグレードから下がスペシャルティコーヒーやプレミアムコーヒーなどの
概念が誕生する前から流通していた、いわゆる「大量生産」と言われるものです。
- コーヒーの各生産国が独自で設けている高い基準を満たしていること
例)ブラジル No.2
コロンビア・スプレモ
ローグレードコーヒー
別名「バーゲンコーヒー」とも言います。
ロブスタ種などを含む、インスタントコーヒーや缶コーヒーなどの安価なコーヒーにも使われるコーヒー豆などがこのグレードに入ります。
コロンビア・エクセルソ
②チャートで選ぶ
「銘柄の名前はある程度わかってきたけど、どの銘柄がどんな味なのか、自分の好みのコーヒー豆はどのようなものなのかがわからない。」
学習を始めたばかりの頃はそのように感じることもあるでしょう。
そのような時には、コーヒー豆を売っているお店には必ずある、チャートから判断するとよいでしょう。
コーヒーチャート
こういったチャートには、各種コーヒー豆の味の傾向が「酸味」「苦味」「コク」などの要素別に明確にわかるようになっています。
このチャートを参考にすることで、味の目安を見つけながら豆選びがしやすくなります。

様々なテイストがある「味」
チャートはひとつの基準となりますが、酸味や苦味と一口に言っても、
それがどのような酸味なのか、どのような苦味なのかは豆の種類によって異なります。
例えば同じ酸味でも、南米産のような柑橘系を思わせる酸味もあれば、
アフリカ産のような青りんごの爽やかさを感じさせる酸味もあります。
苦味に至ってはさらに複雑で、豆に含まれた様々な成分が焙煎によって化学反応を起こすことにより、多種多様な複雑さを持った苦味が存在します。
今までの固定概念にとらわれない選択をする
「自分は酸味が苦手」など既に好みをお持ちの方も多いですが、
最初は限定せずにいろいろなものを試してみましょう。
「これまでは、自分の理想の酸味というものに出会ってこなかっただけかもしれない」と考え、
いろいろ買って試してみるのがお勧めです。
また、酸味や苦味のチャートだけでなく、より具体的な味の解説が書いてあるお店もあります。
「バニラのような甘い香り、チョコレートのようなコク」だとか
「ワインのような風味、上品な酸味と力強い苦味のハーモニー」など
ワインのテイスティングのような表現で複雑な風味が解説されていますので、参考にするとよいでしょう。
「ストロング」「マイルド」の表記について
たまにコーヒー豆に「ストロング」や「マイルド」の表記がついて売られているのを見かけます。
これにはおおよそ、焙煎度が関係しています。
ストロングは中深煎り以上で、酸味よりも苦味が強く、ボディがしっかりしたもの。
マイルドは中煎りくらいまでの焙煎度で、苦味は少なく酸味や香りが豊かで、味は薄めになります。
焙煎についてはLesson4で詳しく学習しますが、
焙煎度による味の傾向を覚えておくと購入時の参考になります。

③コーヒー豆の質で選ぶ
少々難易度が上がりますが、コーヒー豆の質で判断する方法もあります。
例えば品質を判断する指針として、以下のような点が考えられます。
品質を判断する指針
- 欠点豆が少ない
- 焙煎したて
- 煎りムラなどがない
- 豆の粒が大きい・・・など
豆の質=専門店の質
欠点豆や煎りムラなどは素人ではなかなか見た目ではわかりませんし、
焙煎したてかどうかはさらに判断が難しいものがあります。
例え分かったとしても、欠点豆の混入や焙煎に問題があるような専門店は、
コーヒー豆よりお店自体に問題があると言ってよいでしょう。
つまりこれはコーヒー豆の選び方=コーヒー専門店の選び方、とも言えます。
焙煎に関しては注文してから焙煎してくれるお店などもあるので、
そういったサービスを提供している専門店から購入するのもよいでしょう。