Lesson4-2 焙煎機

焙煎機とは

コーヒーをコーヒーとして完成させる焙煎は大変重要な工程であり、
多くの場合、焙煎は焙煎機で行われます。
焙煎機には様々な種類があり、味やフレーバーにも影響を与えるものです。

焙煎機の種類

焙煎機には「直火式」「熱風式」「半熱風式」の3種類があります。

どれも鉄板で出来たドラムの中にコーヒーの生豆を入れ、それぞれの熱源によって焙煎がおこなわれます。
ドラム内の生豆は均一に焙煎され、煎りムラが起きないように攪拌される仕組みになっており、
機種によってドラム自体が回転するものもあれば、
ドラム内で羽が回転して豆を攪拌するものもあります。

直火式

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生豆を入れるドラムに細かな穴が開いており、
下からの炎が直接生豆に当たることで、焙煎がおこなわれます。

温度調節が難しく煎りムラができることも

豆によって火に当たる部分と当たらない部分とがあり、
またドラム内の温度も常に均一ではないため、焙煎中はよく撹拌しないと煎りムラができやすくなります。
撹拌がうまくいったとしても、火が直接豆の表面に当たっているので、
温度調節がうまくいかないと豆の中心部と表面との焙煎度にも違いが出てきてしまいます。

コーヒーの香ばしさを引き出せることがメリット

火加減が難しいので大量生産には向いていませんが、
コーヒーの香ばしさを引き出せる方式としてコーヒー好きには好まれています。

熱風式

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生豆と熱源は切り離され、高温で暖められた熱風を穴のないドラムに送り込んで焙煎します。

大量の生豆焙煎に適した方法

ドラム内の温度が均一に保てる上、温度調節もしやすいので、
大量の生豆を焦げやムラなく焙煎するのに向いています。
大手メーカーが使用する大型焙煎機ではほぼこちらの方式が採用されています。

半熱風式

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直火と熱風、両方の特徴を兼ね備えた方式です。
ドラムに火を当てていますが、穴が空いていないので豆には直接火があたりません。
同時にドラム内に熱風を送り込んでドラム内の温度も均一に保ちます。

2つのメリットを合わせた近代式

半熱風式は、直火式ならではのコーヒーの香ばしさも引き出しつつ、
ドラム内の温度調節もしやすくした、最も近代的な方式です。
日本の自家焙煎のコーヒー店などで使われている小型焙煎機は最近こちらの方式が増えています。

焙煎機の構造

焙煎機にはいろいろな機種がありますが、だいたい構造は類似しており機関車のような形が一般的です。

Mr Brown/Shutterstock.com
機関車のような形の焙煎機 Mr Brown/Shutterstock.com

焙煎のプロセス

  1. ドラム内の予熱が終わったら、焙煎機のホッパー(生豆投入口)に生豆を投入します。ドラム内には豆の焙煎状態を目視で確認できる覗き窓があり、そこから中の様子を確認します。
  2. 焙煎中に何度もテストスプーンでドラム内のコーヒー豆を取り出し、色や香りをチェックします。
  3. 目的の焙煎度まで煎り上がったら、コーヒー豆は冷却槽に移され、これ以上焙煎が進まないよう速やかに冷却されます。

動画で確認!焙煎のプロセス

実際にプロの焙煎を見てみましょう。大きな焙煎機を用いるロースターなどは、
このように大規模ながらも繊細な作業を行っています。
(1:10あたりから焙煎工程に入ります。)

コーヒーコラム

焙煎機の歴史

19世紀くらいまで、西洋の人々は生豆を購入し自宅でフライパンなどを使って豆を焙煎していました。しかしそれだと20分くらいの間ずっとかき回していないといけないので、
疲れる上に煎りムラも多かったようです。

19世紀からヨーロッパやアメリカで様々な焙煎機が開発され、都市部では次々に焙煎業者が誕生しました。

カーター・プルアウト

19世紀にアメリカで最もよく用いられた焙煎機が「カーター・プルアウト」です。
煉瓦造りのかまどの中に円筒形の容器が差し込まれ、グルグル回転するというものでした。
働く人は酷い煙と灼熱の暑さに耐えて焙煎を行っていました。

ジェイベズ・バーンズによる優れた焙煎機の発明

19世紀後半になると、アメリカの発明家ジェイベズ・バーンズが優れた焙煎機を開発し、
コーヒー豆の大量生産に拍車をかけました。

イメージ Morphart Creation/Shutterstock.com
イメージ Morphart Creation/Shutterstock.com

ドイツでのプロバット社

ドイツではプロバット社などが焙煎機の開発を行っていました。
プロバット社は1868年から現代まで続いている創業150年の焙煎機メーカーです。