様々な抽出方法
ここからは代表的な抽出方法と、美味しく淹れる技術とコツを学習していきます。
それぞれの抽出方法の原理を理解することで、先に学習したコーヒー抽出の理論と照らし合わせ、
自分の好みのコーヒーを淹れるアレンジの仕方がわかってきます。
まずは気になる淹れ方を試してみることから始めましょう。
そしてこだわりの一杯を追求していくことで、コーヒースペシャリストとしてのスキルが高まります。
ペーパードリップ

ペーパードリップは、最も広く一般に普及しているコーヒーの抽出方法です。
手入れが簡単でコストパフォーマンスも良く、ペーパーフィルターがコーヒーの雑味や油脂分を吸着するので、クリアなコーヒーの味わいが楽しめます。
美味しく淹れるにはテクニックと修練が必要ですが、
慣れれば注ぎ方の加減でコーヒーの出来上がりを調節しやすいのも魅力のひとつです。
器具
器具はペーパーフィルター、ドリッパー、サーバーの3つのパーツから構成されています。
ドリッパーにはカリタ式、メリタ式、ハリオ式、コーノ式など複数の種類があり、
それぞれ抽出されたコーヒー液の通る穴の大きさと数、側面の「リブ」と呼ばれる溝の形状などが異なります。
適した豆
使用するコーヒー豆は中挽き以上が最適で、細挽きより細かくなると、
ペーパーフィルターの目が詰まって抽出液の通りが悪くなることがあります。
焙煎度は中煎り以上が適しています。
浅煎りの豆は水分の含有量が多く、やはりフィルターの目詰まりを起こします。
- メッシュ:中挽き〜粗挽き
- 焙煎度:中〜深煎り
- 粉量(目的の抽出量)
120ml:10g
240ml:18g
360ml:26g
ペーパードリップでの淹れ方
まずは最もオーソドックスなカリタ式での淹れ方をマスターしましょう。
準備
- ペーパーフィルターの側面と底の部分の折りしろを折ります。
- ペーパーフィルターをドリッパーにセットします。
※ペーパーフィルターが濡れているとリブとドリッパーの間に隙間ができず、蒸らしがうまくいきませんので、決してペーパーフィルターは濡らさないようにしてください。 - 沸騰させたお湯をコーヒーポットに移し、温度を調整します。
淹れ方
①コーヒーの粉を淹れる
乾いたペーパーフィルターにコーヒーの粉を入れ、軽く振るなどして、表面を平らにならします。
②お湯を注ぎ粉全体を湿らせる
お湯を中央から「の」の字を描くように外側に向かってゆっくり注いでゆき、粉全体を湿らせます。
この際、紙に直接お湯をかけないように気をつけてください。
③蒸らす
この状態で30秒、蒸らします。
新鮮な粉を使った場合は粉がふっくらと膨らんできます。
④2湯目の注湯
お湯を中心からのの字を描くように外側に向かって注いでいきます。
外側の粉にはお湯をかけず、紙に粉がくっつき「粉の輪」が出来る程度に
残しておくのがポイントです。
お湯がいっぱいになってきたら、いったん止めます。
⑤さらに注湯
抽出液がサーバーに落ちきらないうちに、またゆっくり中心から周囲に向かって
のの字を描くように注いでいきます。
ここからの注湯は下記ポイントを意識します。
- 外側の端っこの粉にはお湯をかけず、粉の輪はキープ
- いっぱいになってきたらまたいったん止める
これを目的の量が抽出されるまで繰り返します。
コーヒーの旨味成分は最初の3湯目くらいまでにあらかた抽出されているので、
4湯目以降は目的の抽出量を増やすものです。
⑥目的量が抽出されたら注湯を止める
目的の量が抽出されたら、まだドリッパーにお湯が残っていても、
サーバーからドリッパーを外してドリップを止めます。
抽出液を最後まで落とし切ると雑味が混ざるので、なるべくお湯の量が残っている段階で
止めるようにします。
⑦サーバーを振って中のコーヒーを混ぜる
ドリップされたコーヒーは最初の方は濃く、だんだん薄くなってくるので、
混ぜることで濃さが均一になります。
⑧カップに注いで完成
美味しく淹れて飲むためのさらにワンポイント
- お湯を注ぐ勢いを変えることにより、出来上がりのコーヒーの味を調節することができます。ゆっくり注ぐほどコクのある味わいになり、早く注ぐほどスッキリとした味わいになります。
- 蒸らし終わってから抽出が終わるまで3分を目安にしてください。抽出時間が長すぎると雑味が混ざりやすくなります。
動画でマスター・ペーパードリップ
ここまでの手順を動画でも確認してみましょう。手元をよく見ることで今までなんとなく行っていた工程が、わかりやすくなります。