コーヒーは健康に悪いという誤解
「コーヒーは胃に悪い」
「コーヒーは子供が飲んではいけない」
「コーヒーは体を冷やす」
など、コーヒーが健康を害するといった類の俗説は昔から枚挙に暇がないほどありました。
しかし、最近の研究により、こういった「コーヒー不健康論」は次々と否定されてきています。
コーヒーは胃に悪い?
世界最古のコーヒーに関する記述とされる10世紀ペルシャの医学者ラーゼスが書き残した資料には、
コーヒーは「胃にとても良いもの」と記されています。
しかし、いつしかコーヒーは胃に悪いという俗説がまかり通るようになり、
現在でもこの俗説は広く信じられています。
胃液の分泌が盛んになり、消化を助ける
コーヒーは胃液の分泌を活性化させ消化を促す働きがあることがわかってきており、
胃の働きを助ける、胃に良い飲み物だと考えられる様になっています。
もちろん飲みすぎれば胃酸過多に陥り、胃壁を荒らす原因にもなりますが、
ほどほどに飲む限りはコーヒーが胃に害を及ぼすものとは言えません。
胃に良くないコーヒーとは?
ただし、古くなって酸化したコーヒーや、
下手な抽出方法によってエグミや渋みなどが出てしまったコーヒーは注意が必要です。
このような質の悪いコーヒーはメリットとなる成分よりも、デメリットのほうが多く出てきます。
もともとコーヒーが胃に悪いという俗説が浸透したのも、
こういった質の悪いコーヒーが出回っていた時期に広まったものが、
現在も残っているということだと思われます。
コーヒーは心臓に悪い?
コーヒーは血管を拡張し、血液の循環を促進する働きがあります。
そこでコーヒーは心臓に負担をかけるという見解が生まれました。
しかし最近の研究によると、心臓病とコーヒーには直接の関係がないことが解っています。
コーヒーは子供が飲んではいけない?
コーヒーは刺激物なので、育ち盛りの子供には飲ませるべきではないとよく言われていました。
実際には、コーヒーは子供が飲んでも健康や発育に特に悪影響を及ぼすことはありません。
ただし敏感な年頃の子供がコーヒーを飲むことで、夜眠れなくなり、
生活のリズムを崩してしまうことはありますので、飲む時間によっては制限する必要はあります。

妊婦はコーヒーを飲んではいけない?
妊婦はコーヒーを飲んではいけないともよく言われています。
現状では妊娠中にコーヒーを飲んだ母親の子供に未熟児、奇形児、早産が増えた
という統計は出ていません。
初期の段階でコーヒーを飲みすぎると流産の可能性が高まるというデータも出ていますが、
適量なら問題はないという見解が出されています。

コーヒーはからだを冷やす?
コーヒーはからだを冷やす飲み物だと言われていますが、果たしてそうでしょうか。
東洋医学では、全ての飲食物は陰と陽に分類されるという考え方があり、
コーヒーは体を冷やすものとして、陰性に分類されています。
また、コーヒーは熱帯で採れるフルーツなので、体を冷ます働きが自然に備わっているのだ、
とも言われています。
これらの考え方が「コーヒーは体を冷やす」という俗説の元になっているのだと思われます。
しかし科学的に言って、適量を飲む限りでは、コーヒーに体温を下げる作用が証明されているわけではありません。
ちなみに世界で最大のコーヒー消費国は北欧のノルウェーです。
ヨーロッパでもとりわけ寒い国がコーヒーをたくさん飲んでいるのですから、
コーヒーが体を冷やすかどうかはそれほど気にしなくてよいでしょう。
寒い時は暖かいコーヒーを飲んで、身も心も暖まりましょう。