コーヒーが「不健康なもの」になってしまう場合もある
前Lessonで「コーヒー不健康論」は科学的に根拠がないことを学習しましたが、
そうは言っても、やはり「過ぎたるは及ばざるが如し」です。
コーヒーは場合によって、体に良くないものとなる場合があります。
考慮すべき点は、コーヒーの「質」と「量」です。
コーヒーの過剰摂取による影響
一部の栄養素の吸収を妨げる
クロロゲン酸はミネラル、ビタミンB1・B2の吸収を阻害するという側面があります。
鉄イオンやビタミンと結びついて難溶性の物質に変化し、腸から吸収されにくくなるためです。
また、胃液の分泌を高めるので消化性の胃腸潰瘍を生む可能性も否定できないので、
胃がデリケートな方も飲み方を工夫しましょう。
食後のコーヒーは消化に良いと学習しましたが、
貧血気味の方や胃腸機能が弱い方は飲み方に注意が必要です。
正しく栄養を吸収するために、直後よりは30分以上の間を置いて飲むことで
食事で摂取した栄養吸収を邪魔することなくコーヒーが楽しめます。
眠れなくなる可能性がある
コーヒーは眠気覚ましになりますが、これが人によっては両刃の刃となり、
あまり遅い時間に飲むと夜眠れなくなる恐れがあります。
カフェインの効果は個人差はありますが、最大で7時間ほど続きます。
不眠で悩んでいる方や、カフェインに過敏な体質の方は、
寝る7時間前以降にコーヒーを飲むのはなるべく控えましょう。
胃を荒らす可能性がある
繰り返しになりますが、コーヒーは胃液の分泌を促進し、消化を助ける反面、
飲みすぎると胃酸過多になり、胃腸を荒らすことがあります。
飲みすぎにはくれぐれも注意してください。
また、もともと胃弱の方は1日の杯数を制限する、空腹時に飲むのは避ける、
あまり濃いコーヒーは飲まない、カフェオレなどを飲む等、工夫をするようにします。

依存症になる可能性がある
コーヒーには若干の精神依存性があります。
長期に渡って多量にコーヒーを飲む習慣のあった人が急にやめると、
頭痛、不安感、疲労感、抑鬱、集中力の低下などの禁断症状が現れることがあります。
ただコーヒーの場合はドラッグと違い、数日経てば正常に戻ることが確認されていますので、
医学的に深刻な問題はないとされています。
しかしこれも個人差がありますので、手の震えや妙に落ち着かなくなる等、
異変を感じたときは暫くコーヒーを飲むのを控えるようにしましょう。
コーヒーの質による影響
酸化したコーヒー
前Lessonでも少し触れましたが、酸化したコーヒー豆で淹れたコーヒーや、
淹れてから時間が経過したことで酸化してしまったコーヒーは、体にとってデメリットとなります。
「酸化」は老化の原因ですが、酸化した物質も体に害を与える物質となります。
特に酸化した油が人体に与える影響は大きく、豆の選び方や保存方法において、
とかく「新しい豆を選ぶ」「酸化しないような保存方法を取る」と
「酸化」というキーワードを重視していたのは、味はもちろん私達の健康に対して影響があるためです。
豆は酸化していない新鮮なものを選び、酸化しないように保存し、
淹れたコーヒーはできるだけ早く頂くようにしましょう。
添加物や増量剤、質の悪い豆を使用した安価なコーヒー
近年ドリンクバーや一部の店舗で提供されている、ドリンクバーやおかわり自由のコーヒーがあります。自分で豆を選び、焙煎を行ったり手間をかけて淹れたりしていると、
その価格で提供されていることに疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
このような安価なコーヒーにはやはり安いだけの理由があり、考慮が必要な点がいくつかあります。
- 添加物の使用により通常の何倍もコーヒー液が抽出できるようにしている
- 風味の抜けた薄いコーヒーを飲めるようにするために、香料などの添加物を加えている
- コーヒー風味の安価な増量剤を加えている
- 安価な豆は、農薬や科学肥料などを使用して栽培されている可能性が高い
- 保存性を高めるためにポストハーベストを使用している可能性もある・・・など
安く提供されるコーヒーが全てこのような項目に当てはまると断言はできませんが、
値段にはそれなりの理由があることを意識しておくことは大切です。
健康的になるための飲み方
最後にコーヒーを安全かつ効率的に飲むための、ちょっとしたポイントを押さえておきましょう。
①適量を知る
これも繰り返しになりますが、コーヒーがいくら体に良い成分が含まれていると言っても、
やはり「適量」を飲むことが大切です。
適量は1日2~3杯くらいが妥当ですが、体質や体調によってその量には個人差があります。
1日1杯が限界という人もいますし、10杯飲んで絶好調という人もいます。
また、1日2杯のコーヒーは美白効果があるとの研究もあったり、
フランスの文学者バルザックは1日に60杯ものコーヒーを飲んでいたといいますから、
やはりそこは人それぞれとしか言いようがありません。
自分の体調と相談しながらほどほどの量を決めて、コーヒーを楽しんでください。
②適度な運動と正しい食生活を心がける
適度な運動と正しい食生活は、コーヒーの効能と相まって、素晴らしい相乗効果を発揮します。
コーヒーが持つ抗酸化作用、代謝の促進、心身の活性化、消化吸収、体脂肪の燃焼などの効果は、
どれも適度な運動と正しい食生活を維持することによって、
最大限の恩恵を受けられるものばかりです。
③砂糖を入れずに飲む
クロロゲン酸は血糖値の急激な上昇を抑制する働きがありますが、
砂糖をたっぷり入れてしまっては、せっかくの効果も相殺されてしまいます。
血糖値の急上昇、急降下は血管を始め体に最もダメージを与える現象として近年研究が進んでいます。
また精神面に与える影響も指摘されており、
さらにコーヒーは糖と結びつくことで糖を蓄える働きをすることもわかってきています。
コーヒーそのものの味を楽しむことができるので、
砂糖はなしか控えめを心がけましょう。
④浅煎り豆で飲む
カフェインやクロロゲン酸は焙煎するほど減少します。
そのため、カフェインやクロロゲン酸の効果を高めたいと思ったら、
浅煎りで淹れたコーヒーを飲むのがお勧めです。
⑤ペーパードリップで淹れる
コーヒーにはジテルペン類という血中コレステロールや中性脂肪を増加させる成分が入っています。
ペーパーでドリップすることによって、ペーパーがこれらの有害な成分を吸い取り、
除去する効果を期待することできます。
