コーヒーのスペシャリストとして、より深くコーヒーについて知るために重要となるのが
「カッピング」技術の習得です。
これはコーヒー業界には必須のスキルであり、また個人的に楽しむにあたっても
大きく世界を広げてくれるものとなります。
カッピングとはなにか

「カッピング」とは、ワインでいうテイスティングのように、
味やフレーバーを客観的な評価基準によって規定したもので、
品質を確かめるためのコーヒーの新しい評価基準です。
ワインにおけるテイスティング、日本酒における利酒に当たる、
コーヒーを扱うプロには必須の知識と技術となります。
カッピングを用いることで、コーヒーの最終的な評価は豆の希少価値や焙煎技術の高さではなく、
飲んだ時の味で決定することができるようになります。
客観的な評価基準
味で評価するにあたり難しいのは、味覚は主観的なものであり人によって異なるという点でした。
味について表現する言葉は多彩でも、これでは国際間や品評会で用いる評価基準として不十分です。
そこで、コーヒーの世界でもワインのテイスティングのように、
客観的な評価方法が設けられるようになりました。
これがカッピングであり、これにより品質を確かめたり、
味わいを評価したりすることができるようになったのです。
国際品評会などでのカッピング基準・手順には厳格な決まりがあり難しい点も多々ありますが、
個人で行う場合には、楽しんで行うことから始めるとよいでしょう。
様々な場面で活用されるカッピング
生産国視点・・・品質管理のためのカッピング
生産国でのカッピングの特徴
- コーヒー豆の出荷前に行われる
- 異質な香味がないか、規定内の品質かなどを確認するために行われる。
- 欠点チェックを重視するネガティブチェックの要素が強い。
- 様々な地域の豆を集めて出荷するコマーシャルコーヒーは、欠点豆の混入率が高いため、集荷前にカッピングによりチェックする必要がある。
- 従来のネガティブチェックのカッピングは、ブラジル方式とも呼ばれている。ブラジルやコロンビアなど生産量の多い国ではこのカッピングは豆の評価基準として重要視されている。
消費側視点・・・美味しさを評価するためのカッピング
消費者側の行うカッピングの特徴
- カッピングを行う目的や用途が様々である。
■商社や問屋・・・仕入れ前の豆の種類や品質をチェックするため
■焙煎を専門に行うロースター・・・焙煎の具合をチェックするため
■コーヒー専門販売店・・・商品説明のためなど。 - スペシャルティコーヒーの登場により、カッピングが欠点を探すものから風味や特性を評価する手段として変化
- スペシャルティコーヒーはもともと欠点豆の混入率が低く高品質であることが前提であり、特性を評価するポジティブチェックとなる
評価とカッピングの方法
これまでのカッピングは生産国で行われるものが主であり、
ブラジル方式は「いやな渋み、においがないか」など欠点をチェックする方式でした。
新しいカッピングでは、この点が大きく異なります。
スペシャルティコーヒーはもともと欠点が特に少ないために、これまでの欠点法は適しません。
消費側視点のカッピングでの評価は、優れた個性や香味を持つかが評価対象となります。
プラス面を評価する方法として現在用いられているのが、SCAA方式(現 SCA方式)とCOE方式です。
カップ数や採点方法などに若干の違いはありますが、
香味特性を重視する点では共通した基準を有しています。
スペシャルティコーヒー協会の定義や、カップ・オブ・エクセレンス(COE)では、
カッピングのなかでも特に、良い点を加点方式で点数をつけていく
ポジティブチェックのカッピングの評価が重要視されいます。
具体的なカッピングの方法としては、決められた基準・手順
抽出方法は私達が飲むために用いるドリップ式などとは異なり、
粉に湯を淹れて音を立てて吸い込む方法を取ります。
SCAA方式(現 SCA方式)
SCAA(現 SCA)とはアメリカスペシャルティコーヒー協会のことであり、
これはアメリカスペシャルティコーヒー協会が定める基準です。
SCAA方式(現 SCA方式)の特徴
- スペシャルティコーヒーとそれ以外を区別するための評価方法
- 1コンテナ単位の比較的大量のコーヒーが対象
- カッピングボウルを5つ使用する
- 評価項目は計10項目
COE方式
COEとはカップ・オブ・エクセレンスの略で、
COE方式はカップ・オブ・エクセレンスで採用されている評価方法です。
最高品質のコーヒーを選ぶために規定されたこの評価基準であり、
日本スペシャルティコーヒー協会もこのCOE方式を採用しています。
COE方式の特徴
- 国際的な品評会であるカップ・オブ・エクセレンスで採用、規定されている方式
- カッピングボウルを4つ使用する
- 評価項目はフレーバーや香味など計8項目
専門店独自の評価法
上記の世界的に有名な2つの評価基準以外にも、コーヒー豆を取り扱う商社や問屋、
自家焙煎を行う喫茶店やコーヒーショップなどが独自で設けている評価方法もあります。
専門店独自の評価方法の特徴
- 正式なカッピングの方法に加えて、飲むときと同じ条件での抽出方法で行われる事が多い(例:ドリップ式で抽出するなど)
- スペシャルティコーヒーだけでなく、ブレンドの出来を評価する際にも用いられる
- 国際品評会のような厳格さがなく独自の方法をとったり、決められた評価項目以外にも独自に重視する項目が追加されていることがある