Lesson13−1で学んだ理論を思い出しながら、実践編に移りましょう。ここではコーヒーのフードペアリングの基本であるコーヒーの焙煎度によるペアリングの具体例を、「スイーツ」「パン」「その他のフード」に分けて修得していきます。
スイーツ
スイーツとのペアリングは、以前までは「苦味のあるコーヒーで、スイーツを食べて甘くなった口をさっぱりさせる」という、「打ち消し」の考え方が主流でした。しかし近年のフードペアリングは「打ち消す」のではなく、「相乗効果」という考え方が主流となってきています。
スイーツは「甘い」からコーヒーの「苦味」と相性が良いだけではありません。スイーツの素材となっているチョコレート、クリーム、バター、フルーツ、ナッツ類などにコーヒーの香味と共通するものがあることで、ペアリングとして最高の組み合わせだと言えます。
浅煎りのコーヒーに合うスイーツ
浅煎りのコーヒーは繊細な酸味を持ち、コーヒー独特の香ばしさがまだありません。そこで相性が良いのがフルーツタルトなどのような、フレッシュフルーツを使ったスイーツです。それからマドレーヌやシフォンケーキ、バームクーヘン、クッキーなどのような、香ばしすぎない、軽く焼いただけのシンプルなスイーツがおすすめです。
また、スペシャルティコーヒーの個性とも言える酸味の種類に注目して、柑橘系の酸味にはレモンケーキ、ベリー系の酸味ならいちごやブルーベリーのタルト、などさらに細分化してみてもよいでしょう。
浅煎りコーヒーはたっぷり量も飲めるので、カップの大きさに合わせて一切れも多めに盛りつけてみましょう。また、フレッシュフルーツは浅煎りの中でも特にアイスコーヒーとの相性が良くなっています。
浅煎りコーヒーと相性がよいスイーツ
- 旬のフレッシュフルーツや、酸味に合わせたフルーツを使ったタルト
- レモンケーキ
- フルーツがたっぷりの軽めのショートケーキ
- マドレーヌ
- クリームを添えないシフォンケーキ
- クッキー
- バームクーヘン・・・・など
中煎りのコーヒーに合うスイーツ
中煎りのコーヒーは苦味と酸味のバランスがよく、また酸味も浅煎りと比べてシャープになり、コーヒーらしい香ばしさも加わってきます。そこでアップルパイのような、少し火を通して香ばしい風味が加わったフルーツを使ったスイーツと合います。
酸味よりも苦味の方がまさったシティローストくらいになると、はちみつやバニラ、メープルシロップ、あっさりしたクリームなどを使った甘いスイーツ、例えばホットケーキ、モンブラン、ショートケーキ、シュークリームなどと好相性です。ただしこれらは甘味やバターなどの濃厚さによってもう少し深煎りのコーヒーの方が合う場合があります。また、フィナンシェなど、キャラメル風味やほんのりしたアーモンド風味も中煎りコーヒーとマッチします。
中煎りコーヒーと相性がよいスイーツ
- アップルパイやピーチパイなど火をとおしたフルーツケーキ
- はちみつやメープルシロップをかけたパンケーキやフレンチトースト
- モンブラン
- クリーム感が多めのショートケーキ
- レアチーズケーキ
- 軽いスフレチーズケーキ
- クリームを添えたシフォンケーキ
- シュークリーム
- キャラメルやアーモンドがほんのり香るフィナンシェ・・・など
中深煎り(フルシティロースト)のコーヒーに合うスイーツ
中深煎りのコーヒーはコーヒーの複雑な旨味がもっともバランスよく抽出された焙煎度です。そこでスイーツも複雑な味わいのものや、副材料を使ったものがよく合います。例えばチーズケーキ、ドライフルーツパウンドケーキ、ミルフィーユなどもよいでしょう。
中深煎りコーヒーと相性がよいスイーツ
- チーズケーキ
- ドライフルーツが入ったパウンドケーキ
- フルーツよりもクリームメインのミルフィーユ
- 濃厚なフレーバーの層が何層にも重なったケーキ・・・など
深煎り(フレンチ、イタリアンロースト)のコーヒーに合うスイーツ
フレンチロースト以上の深煎りコーヒーは、チョコレートケーキなど、チョコレートを使ったスイーツと好相性です。深煎りの苦味が口の中をすっきりさせてくれるので、生クリームなどをたっぷり使った濃厚な甘さをもったスイーツも欠かせません。
また、深煎りコーヒーには脂っぽさと、スパイシーな風味が出てくるので、ドーナツなどのような揚げ菓子、シナモンロールなどのようなスパイシーな味わいをもったスイーツと合います。
深煎りコーヒーと相性がよいスイーツ
- ザッハトルテなどの濃厚なチョコレートケーキ
- クリーム感が強いモンブラン
- ニューヨーク系チーズケーキ
- ティラミス
- リキュールが入ったケーキ
- 脂肪分の多いアイスクリーム
- ドーナッツ
- シナモンロール
- パンデピス・・・など
エスプレッソと合うスイーツ
エスプレッソは深煎りの分類になるので、深煎りのコーヒーに合うものならたいてい相性がよくなります。
エスプレッソ特有の濃厚な苦味には、甘みと苦味のバランスを楽しむチョコレート系のスイーツと相性がよいでしょう。濃厚なチョコレートケーキやカカオ感の強いビターチョコレート、また濃厚さに合わせてチョコレートクリームのエクレアなどもお勧めです。
また、強い苦味にあわせて強い甘みをあわせる方法もあります。マカロンなど特に甘みが強いスイーツとの相性も良くなります。
エスプレッソと相性がよいスイーツ
- チョコレート系のスイーツ
- チョコレートクリームのエクレア
- 濃厚系のマカロン・・・など
アレンジコーヒーと合うスイーツ
カフェオレ・カプチーノ・カフェラテ
深煎りコーヒーにミルクをたっぷりと入れるカフェオレやカフェラテ、カプチーノには、同じようにミルク感のあるクリームがたっぷりのシュークリームや、香ばしさとクリーミーさが絶妙はキャラメル系のケーキ、バターを練り込んだパイなどとの相性が抜群です。
- シュークリーム
- キャラメル系のケーキ
- バターがたっぷりのパイ系スイーツ
アルコールアレンジのコーヒー
アルコールが含まれているスイーツには、同様にアルコールが高級感を与えるスイーツや、芳醇な香りのある濃厚なスイーツとの相性がよくなります。
例えば、高貴なブランデーの香り漂うカフェ・ロワイヤルは滑らかな舌ざわりとリッチな食感をもつトリュフチョコレートと相性抜群です。
- 濃厚なトリュフ
- アルコールやドライフルーツがたっぷりはいったパウンドケーキ
スイーツとコーヒーの相性*和菓子編
和菓子とコーヒーは一見合わせにくいように思われますが、実は絶妙なペアリングのを楽しめるスイーツです。合わせ方は洋菓子と同様、まずは味の傾向が近しいものを選ぶとよいでしょう。
例えばいちごの甘酸っぱさが口いっぱいに広がる白あんのいちご大福には、ベリー系の酸味が感じられるクリーンな豆を。塩漬けされ発酵した桜の葉をまとった道明寺は、あんの濃厚さと塩漬けの葉の発酵フレーバーとマッチするナチュラル精製の豆を。たっぷりのこしあんをのせた草だんごには、フルーティーさと濃厚なコクを持つコーヒーを合わせると、あんに黒糖のような深みが加わります。







