エスプレッソアレンジのための準備・ミルクの準備
エスプレッソアレンジに欠かせないのが濃密な泡のミルクです。
アレンジの上達のためも、ミルクの扱いを修得しましょう。

フォームドミルクとスチームドミルク
エスプレッソアレンジに使用するミルクは、マシンのスチームノズルを用いて作ります。
この時できるミルクには「フォームドミルク」と「スチームドミルク」の2種類があります。
フォームドミルク(フォームミルク)
空気を多く取り込んだ細かい泡状のミルクをフォームドミルクといいます。
空気と液体を混ぜ合わせて作ることで、たっぷりのボリュームが出ます。
スチームドミルク(スチームミルク)
フォームドミルクは冷たいミルクを蒸気(スチーム)で温めながら作りますが、
その過程で泡にならず残った暖かいミルクがスチームドミルクです。
カプチーノとカフェラテのミルク量の違い
基本的に、カプチーノにはフォームドミルクの割合が多く、
カフェラテにはスチームドミルクの割合が多くなります。
フリーポアなどのラテアートでは、フォームドミルクが多すぎると泡が軽すぎて
アートが描きにくくなるため、スチームドミルクの割合を多くしています。

ボリュームアップとテクスチャリング
フォームドミルクやスチームドミルクをつくるための工程を、ミルクのスチーミングと言います。
スチーミングは、ボリュームアップとテクスチャリングの2つの工程が重要となります。
ボリュームアップ
ミルクに空気を取り込む工程がボリュームアップです。
最初に1.3~1.4倍にかさが増します。
きめ細やかな泡を作るためには次工程のテクスチャリングの時間をたっぷり取ることが重要なので、
ボリュームアップは早い段階で終えてミルクが温まりすぎないようにしましょう。
テクスチャリング
ボリュームアップで作った空気の泡をつぶしながら、キメを整え細かくし、粘度を引き出す工程です。この時間を充分に取ることで、なめらかな泡を作ることができます。
フォームドミルクの作り方
準備するもの

エスプレッソマシン
業務用のマシンは必ずスチーマーが付いています。
家庭用のマシンでも、スチーマー付きのマシンを選ぶと
簡単に質の高いフォームドミルクを作ることができます。
フォームドミルクを作るのはハンディタイプのものや泡立ていでも可能ですが、
ラテアートをするような細かい泡を作る事は難しいため、
本格的なアートに挑戦する場合には購入を検討するとよいでしょう。
ピッチャー
ミルクをいれてスチーミングするのにピッチャーを用います。
細い線がかけるように、注ぎ口が細いものを選びましょう。
またピッチャーの素材は、ミルクの温度が伝わりやすいように、
ステンレス製のものがはじめての方には適しています。
ピッチャーにはいろいろなサイズがあるので使いやすいものを選ぶようにします。
目安としては、2杯分のミルクを温める場合には、500ml程度入るピッチャーを用いるのが一般的です。小さすぎるとしっかりとスチーミングできないので、適切な大きさを選びましょう。
冷たいミルク
使用するミルクは、一般的な成分無調整牛乳を用います。
低脂肪乳や成分調整牛乳でもフォームドミルクを作れないことはありませんが、
泡立ちの悪さや味のバランスを崩す原因となるため避けましょう。
ポイントは、必ず冷蔵庫から出したばかりの良く冷えたミルクを用いることです。
できればピッチャーも冷やしておくとよいでしょう。
これは、十分に泡が立たないうちに牛乳が温まってしまうと、
状態のよいフォームドミルクにならないためです。
常温のミルクや一度温めたミルクを再加熱することができないことも覚えておきましょう。

ミルク使用量の割り出し方
スチーミングするミルクの量は、カップの大きさとエスプレッソ量から計算することができます。
カップに注ぐ量よりも少し多めにピッチャーにいれてスチーミングすることがポイントです。
計算例
<180mlのカップ>ー<エスプレッソ30ml>=<カップに入るミルクの量150ml>
<カップに入るミルクの量150ml>に少し多めに30~50mlプラスして、スチーミングします。※この場合ピッチャーの大きさは倍量の400ml以上入るものを用いるとよいでしょう。
バリスタのスチーミング
エスプレッソの抽出はもちろん、ミルクのスチーミングにも高い技術が必要となります。
ポイントを押さえ、あとは充分に練習し技術を磨いていきましょう。
- 冷たいミルクを計量してピッチャーに用意する。
- スチームワンド(ノズル)の位置を確認し、空ぶかしする。
- ミルクの液面にスチームワンドの先を入れ、約1cmのところで固定する。
- バルブを明けてスチームを開始する。バルブをすこしずつ開けながらピッチャーを少しずつ下げていき、見た目のかさで1.3~1.4倍にボリュームアップさせる。

家庭用エスプレッソマシーンでのスチーミング
マシンにより使い方が異なる場合があるため、基本的にはマシンの説明に従うようにします。
ポイントはバリスタのスチーミングと同じですが、やはりパワーが弱いので、
その点を考慮しながら行いましょう。

- 冷たいミルクを計量してピッチャーに用意する。
- スチームノズルの先に濡れた布巾などをあて、スチームのノブを全開にして空ぶかしする。
- ピッチャーの中のミルクにノズルの先を深めに差し込み、ノブを全開にする。スチームが始まったらピッチャーを下げてノズルの先を浅めにし、空気を含ませ1.3~1.4倍にボリュームアップさせる。
- ボリュームアップしたら、テクスチャリングのためにノズルを深めに差し、ミルクの泡をつぶしながらキメを整えていく。家庭用のマシンはパワーが弱いため、この時にノズルの先をピッチャーの縁近くに当てるのがポイント。これにより対流が起こりやすくなる。
- ミルクの温度が55~65℃の達したらスチーミングを止める。ピッチャーにふれられるかどうかくらいの温度なので、手の感覚ではかる。触れられない温度では熱くなりすぎており、ミルクの甘みがなくなる。
- ノブを閉めてからノズルからピッチャーを外す。最後にも濡れ布巾をあてて空ぶかしするとよい。
- ピッチャーの底を軽くテーブルなどで叩いて、大きな泡を抜く。
- ピッチャーを軽くまわしてミルク全体を均一化させる。家庭用のマシンで作ったフォームドミルクは分離しやすいので、できるだけ早くエスプレッソに注ぐとよい。
ハンディタイプのミルクフォーマーを使う
本格的なマシンでのスチーミングでなくとも、
ハンディタイプのミルクフォーマーを使用してフォームドミルクを作ることもできます。
ミルクフォーマーには手動式と電動式があるので、お好みのものを選びましょう。
どちらにおいても大切なのはミルクの温度です。
冷たいままではうまくフォームができないため、60℃前後に温めてから泡立てるようにしましょう。
手動式の場合
- ミルクを温める。熱すぎても温度が低すぎてもうまく泡立たないため、60℃前後になるようにする。
- 温めたミルクをフォーマーに入れる。
- 蓋をセットし、つまみを上下に動かして泡立てていく。この時、リズミカルに空気を含ませるように動かすのがポイント。
電動式の場合
- ミルクを温める。熱すぎても温度が低すぎてもうまく泡立たないため、60℃前後になるようにする。
- 温めたミルクを容器にいれる。スティックタイプのものの場合には、容器はどんなものでもOK。
- 高速回転する先端部分をミルクの中にいれて軽く上下させながら泡立てる。これも空気を含ませることを意識しながら動かすようにする。