スペシャルティコーヒーの定義
スペシャルティコーヒーは消費者側からの基準により評価されます。
コーヒーの味を正当に評価するために、生産者、農園、品種、栽培方法などの情報開示、
さらにカッピングによる香味の点数などが評価基準となり、
この品質評価は、スペシャルティコーヒーを頂点する品質のグレードで分類されます。

※コマーシャルコーヒー=コモディティコーヒー(通常流通品)
※ローグレードコーヒー=輸入規格外品(生産国国内消費)
スペシャルティコーヒーの定義は、各国のスペシャルティコーヒー協会が規定した物の他にも、
輸入業者やビーンズショップが独自に加えた要素などもありますが、
どの規格であっても、
①カップクオリティでの味やフレバーなどの評価が重視される点
②トレーサビリティが明瞭である点などは共通しています。
スペシャルティコーヒーの歩み
- 1978年・・・フランスでの世界コーヒー会議において、アメリカのクヌートセン女史により初めて「スペシャルティーコーヒー」の言葉が使用される。
- 1982年・・・カリフォルニアでアメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)が誕生する。
- 1991年・・・ブラジルでスペシャルティコーヒー協会が設立。
- 1993年・・・コスタリカでスペシャルティコーヒー協会が設立。
- 1998年・・・ヨーロッパでもスペシャルティコーヒー協会が広まっていく。
- 2003年・・・日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)誕生する。日本でも広く知られるようになる。
アメリカスペシャルティコーヒー協会
アーナ・クヌートセンが、業界紙や国際会議(1987年フランス・モントリオールで開催)での
スピーチで提唱したことが始まりとなった「スペシャルティコーヒー」という概念ですが、
その当時はまだ明確な基準がなく、“特別な気象や地理的条件が生み出す、
ユニークな風味を持つコーヒー”に対する呼称でしかありませんでした。
その漠然とした概念に共通の規格を設けるため、アメリカに1982年に設立されたのが、
アメリカスペシャルティコーヒー協会〔Coffee Association of America:略称SCAA〕です。
SCAAの設立を機に、世界的にこの「スペシャルティコーヒー」の概念が広がり始めました。
なお、2017年にアメリカの「SCAA」とヨーロッパの「SCAE」が合併して現在は『SCA(Specialty Coffee Association)』の略称となっておりますが、類似する総称の機関が複数見られるため、本講座内では「SCAA」を基準に説明させていただきます。
SCAA(現在の SCA)の評価基準10項目
スペシャルティコーヒー協会として最初に誕生したSCAA(現 SCA)の役割には、
スペシャルティコーヒーの認知拡大のための広報や活動、
生産者に向けた取り組みなど様々なものがありますが、
中でも評価基準を明確化し規定していることが大きな役割となります。
SCAA(現 SCA)の評価の特徴
SCAA(現 SCA)が設立されるまでの従来のコーヒー豆の評価は、
生産地が実施してきたネガティブ評価(減点法)でした。
SCAA(現 SCA)の評価の特徴は、そこから消費地側のポジティブ評価(加点法)に変えた点があげられます。
ディフェクト(欠点)があるか無いかという評価から、
ディフェクトは無い、もしくは微小であることを前提とした上で、
さらに「個性があるか」「その質はどうなのか」という評価基準により、
次元の高い評価を可能にしています。
SCAA(現 SCA)評価10項目
- Fragrance/Aroma(フレグランス/アロマ)
粉の香りと液体の香り。その強弱と質の評価。 - Flavor(フレーバー)
液体を口に含んだ時に鼻と口にぬける風味の評価。 - Aftertaste(アフターテイスト)
液体を口に含んだ後の余韻の評価。 - Acidity(アシディティ)
酸味の強弱と質の評価。 - Body(ボディ)
コーヒーを口に含んだ時の粘性(コク)の強弱と質の評価。 - Uniformity(ユニフォーミティ)
味の統一性。5カップの味のバラツキが無いかを評価。 - Balance(バランス)
FlavorとAcidityとBodyのバランスを評価。 - Clean cup(クリーンカップ)
欠点や雑味がないことを評価。 - Sweetness( スイートネス)
甘さの評価。 - Overall(オーバーオール)
総合評価。
以上10項目において各10点満点で評価され、10 項目×10 点=100 点で点数が付けられます。
アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)の生豆の格付け基準と
カッピング基準80点以上の条件を満たしたもののみがスペシャルティコーヒーと呼ばれます。
スペシャルティコーヒーの特徴
上記のような評価基準により認定されているスペシャルティコーヒーですが、
その豆の具体的な特徴は下記の様になります。
- 全体的に粒が大きめ
- 風味が均一に揃っている
→小ロットの精製であり、生産に気を使っているため。 - 欠点数が少ない
→生産者によるハンドピックが丁寧に行われており、欠点豆が非常に少ない。高品質の豆でも欠点豆が混ざっていはカップクオリティは著しく低下するため、欠点豆が多い場合にはスペシャルティコーヒーと評価されることはないためである。 - トレーサビリティが明確
→どの地域のどのような農園で栽培・精製・収穫され、どのような流通経路を辿ったか、はっきりわかるようになっている。 - 抽出後の味がよい
→カップテストによりカップに淹れたあとの風味や味の良さが確認されているため。アメリカスペシャルティコーヒー協会式、日本スペシャルティコーヒー協会式などがある。 - 産地、品種の個性が際立っている
→産地や農園の環境、品種により香味の違いも評価において重要となるため。おいしいだけではなく、他にはない香り、味を持つものが高い評価を得る。
世界のスペシャルティコーヒー協会
このSCAA(現 SCA)の基準を元に、各国のスペシャルティコーヒー協会は基準を設け、
コーヒーを評価しています。
現在世界各国に10以上のスペシャルティコーヒー協会がありますが、
それらの多くはSCAA(現 SCA)の評価基準に準じた評価を行っています。
- Specialty Coffee Association (アメリカのSCAAとヨーロッパのSCAEが合併)
- Specialty Coffee Association of Japan (SCAJ)
- New Zealand Coffee Association(NZCA )
- Singapore Coffee Association
- AustralAsian Specialty Coffee Association
- Specialty Coffee Association of Bolivia
- Brazil Specialty Coffee Association
- Colombia Coffee Federation
- Specialty Coffee Association of Costa Rica
- East African Fine Coffee Association
- Itzalco Fine Coffee association of EL Salvador
- Specialty Coffee Association of India
- Specialty Coffee Association of Indonesia
- Asociacion de cafes Especiales de Nicaragua
- Association of Special Coffee of Panama
- Specialty Coffee Association of South Africa
これら各国の協会は、それぞれ団体により定義が異なる点もあります。
しかし、各国共通認識ということで押さえておくべきことは、
先にも述べたように、「トレーサビリティが明示されている」点と
「カッピングによる香味の評価」がある点です。
