日本におけるスペシャルティコーヒーの評価基準
日本でのスペシャルティコーヒー定義
- 消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
- 風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
- カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階に於いて一貫した体制・工程で品質管理が徹底している事が必須である。(From Seed to Cup)
(SCAJ定義より抜粋)
このような定義のもと、最終的にはカップに注がれたコーヒーを試飲
(カッピング・テイスティング)することで評価が行われます。

日本での評価7項目
①カップ・クオリティのきれいさ
コーヒーの品質の基本的評価の原点となるものです。
カップのきれいさとは汚れや風味の欠点などが全くない事を指します。
風味の汚れや欠点があると、テロワールによる風味が隠され、
飲む人が感知できにくくなるために設けられている基準でです。
- 「汚れ」又は「風味の欠点・瑕疵」が全く無いか
- コーヒーの栽培地特性「Terroir」(テロワール)に透明性があるか
②甘さ
甘さの感覚は、コーヒーのチェリーが収穫された時点で、熟度が良く、
且つ熟度がどれほど均一であったかに直接関係し、品質の高さを見極める一つの基準となります。
甘さとは、焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量だけでなく、
甘さを印象づける成分と要素の結合要因でも変化します。
また、糖分が多くても、苦味、刺激的な酸味、強い汚れ、渋み等、
甘さを感じることを阻害する要因もこの評価に影響を及ぼします。
- コーヒーチェリーが収穫時点で、熟度が良く、且つ熟度がどれほど均一であったか
- 焙煎されたコーヒーに含まれる糖分の量はどれくらいか
- 甘さの印象度を創造する他の成分・要素との結合にもよる
③酸味の特徴評価
心地よく良質な酸味は、コーヒーを生き生きとさせ、
繊細さやしっかりとしたバックボーンを与えるものとなります。
酸度の強さではなく、酸の質が評価基準となります。
反対に、刺激的な酸味、不快な印象度を与える酸味、爽やかさ・キレの無い酸味、
劣化した嫌な酸味は、スペシャルティコーヒーには有ってはならないものとされています。
- 明るい爽やかな、あるいは繊細な酸味がどれ程であるか
- 酸度の強さではなく、酸の質あはどうか
- 刺激的な酸味、不快な印象度を与える酸味、爽やかさ・キレの無い酸味、劣化した嫌な酸味がないこと
④口に含んだ質感
コーヒーにより伝えられる粘り気、密度、濃さ、重さ、舌触りの滑らかさ、
収斂性感触などの感覚・触覚を判断します。
量感に気をとられ過ぎると不快なザラツキによる触覚をコクと誤って判断しかねないので、
質感の品質を評価することが大切です。
- 粘り気、密度、濃さ、重さ、舌触りの滑らかさ、収斂性感触などの感覚・触覚はどのようなものか
- 不快なザラツキによる触覚はあるか
- 質感の品質はどうか
⑤風味特性・風味のプロフィール
一般のコーヒーとスペシャルティコーヒーとを区別する最も重要な項目がこの「風味」です。
風味とは、味覚と嗅覚の組み合わせで表現されます。
栽培から、収穫、選別、精製、保管、焙煎、抽出までの各工程が理想的に行われれば、
栽培地域の特性であるTerroir(テロワール) が正しく風味として伝わります。
コーヒーが一般的な生産工程を経ているのか、
あるいは栽培地の地域特性が純正に表現できているかを明確に評価する大切なポイントです。
- 味覚と嗅覚の組み合わせである「風味」はどのようなものか
- 栽培から、収穫、選別、精製、保管、焙煎、抽出までの工程が理想的に行われているか
- 栽培地域の特性であるTerroirが正しく評点されているか
⑥後味の印象度
コーヒーを飲み込んだ後の後味や、口に残るコーヒー感が、甘さの感覚で消えて行くのか、
嫌な刺激感覚が出てくるのかを判定します。
コーヒーを飲み込んだ後で持続する風味は、コーヒーの心地よさを強めるもの、弱めるもの、
あるいは一切駄目にしてしまうものなど複数の種類があります。
- コーヒーを飲み込んだ後の後味や、口に残るコーヒー感はどのようなものか
- コーヒーの心地よさを強めるもの、弱めるもの、あるいは一切駄目にしてしまうものなど、それにあたるのか
⑦バランス
カップ全体のクオリティとして、調和がとれているかを判断します。
スペシャルティコーヒーは特性が重視されいますが、
あくまでそれは調和を保った上での「よい特性」が評価の対象となり、
突出して調和を崩すものは、スペシャルティコーヒーの要素からは外れます。
- コーヒーは風味の調和が取れているのか
- 突出する特徴があるか
- 欠けているものはないか
これら7つと『総合評価』の計8項目が各評価項目になり、
各8点満点に基礎点36点を加えた合計100点を基に評価されます。
日本でのスペシャルティコーヒーの評価基準はSCAA(現 SCA)ではなく
カップ・オブ・エクセレンス(COE)の基準を採用しています。
次は国際的なコーヒーの品評会であるCOEについて学んで行きましょう。