Lesson7-6 サードウェーブコーヒー

コーヒーの最新事情・サードウェーブコーヒーとは

これまで一部のコーヒー通の間で楽しまれてきたスペシャルティコーヒーですが、
今世界中のコーヒー業界で改めてコーヒー本来の味を楽しめる
スペシャルティコーヒーが注目を集めています。

その世界で巻き起こる新しい潮流のなかで注目されているキーワードが、
サードウェーブコーヒー」です。

Africa Studio/Shutterstock.com
Africa Studio/Shutterstock.com

サードウェーブコーヒーとは?

サードウェーブコーヒーとは現代で起こる新しいコーヒーの潮流の全体を指す用語として
用いられていますが、サードウェーブコーヒーとして提供されているものの主な定義は、
栽培方法から精製、豆本来が持つ特徴など質にこだわり
個性をより引き出すための焙煎と抽出方法で一杯ずつ丁寧に淹れて提供されるコーヒーです。

「マイクロ・ロースター」や「コーヒーの第3の波」とも呼ばれますが、
コーヒーがカップに運ばれるまでのトレーサビリティ、豆の素材や淹れ方など、
各々の工程にこだわるスペシャルティコーヒーのことです。

ここまで学習を進めてきたあなたなら、その特徴は既に十二分に修得できていることでしょう。
なぜ今改めて注目を集めているかというと、これまでは個人経営の小規模な専門店が中心だった
スペシャルティコーヒー(サードウェーブコーヒー)の世界に、
大手飲食企業が続々と参入している背景があります。

なぜサードウェーブ(第3の波)なのか?

大手企業も参入し、一般の人にも広がりを見せている、
「生産過程からこだわった特徴的な豆の、そのもの特性や味わいを楽しむ」文化。
これはサードウェーブと言われますが、コーヒーが世界的に広まったこれまでの歴史のなかで、
ファーストウェーブ(第1の波)、セカンドウェーブ(第2の波)がありました。

ファーストウェーブ

1960年代やそれ以前、それまで希少価値の高かったコーヒーが安価となり、
流通が拡大、コーヒーが大衆に親しまれ始めた時代のコーヒーの流行は
ファーストウェーブと呼ばれています。

この時代のコーヒーのムーブメントは安価で大量に流通できたことが大きな要素であったため、
各企業は生産国からどれだけ安く原料となる豆を買い叩くかの競争となっていました。
そのため品質は重視されておらず、現代から考えれば質や味の良くないコーヒーが主流でした。

しかしこのファーストウエーブのムーブメントにより、
喫茶店など、コーヒーという飲み物に親しむ文化が形成されていきました。

pexels-photo-175711

セカンドウェーブ

スターバックスやドトール、タリーズなど、
“深煎りの豆”を使ったシアトル系コーヒーチェーン店の台頭により、
1960年代、1970年代から、それまでとは異なるコーヒーのムーブメントが起こり始めます。
これがセカンドウェーブです。

1960年代、1970年代になると、それまでの「コーヒーというものが飲めればよかった」時代から
「コーヒーの美味しさを探求」しようとする時代への移行期にさしかかります。
アルフレッド・ピートやクヌートセンたちが登場した時代です。

アレンジコーヒーなどの新しい楽しみ方が広がる

大手コーヒーチェーン店は生産地への直接買い付けを行い始め、
それまでよりも良質な豆を使ったコーヒーが提供されはじめました。
カフェオレやアレンジコーヒーがポピュラーとなり、ロゴ付きの紙コップを片手に
颯爽と歩くことのクールさが、ファッションアイコンとして認識されはじめたのも
セカンドウェーブの象徴です。

それまでの豆よりも品質は考慮されるようになりましたが、
あくまで大手コーヒーチェーン店は大量消費を前提としているため、
高品質の豆とは言えないものも多くありました。

その豆の質の低さを打ち消すためのドリップ技術
砂糖、コーヒーフレッシュを入れる飲み方が普及します。
セカンドウェーブでは中深煎り〜深煎りが中心ですが、
それも質の低い豆からおいしく飲めるコーヒーを抽出し、
大量消費できるようにするためだったという見解もあります。

喫茶店ブームにも

この頃真空パックが開発されたことで、コーヒーの大量生産・遠距離流通が可能となります。
一般家庭でも「アメリカンコーヒー」のようなドリップコーヒーが大量に消費されるようになり、
また日本でも喫茶店ブームが起こります。

様々な店でコーヒーが楽しめるようになりましたが、このとき日本ではまだ
「質の高いコーヒーにこだわる」という認識や情報の取得が可能だったのは
ほんの一握りのお店や人々のみでした。
コーヒーを飲むと胸焼けがしたり、気持ち悪くなったりと、
コーヒーに対して苦手という方もいますが、それはこの時代の日本のコーヒー文化が、
豆の雑味や苦味を誤魔化しながら提供されていた、という背景もあります。

もちろん、この時代より本物の豆の質にこだわり、
当初から質の高いスペシャルティコーヒーにこだわり、自家焙煎したものを
丁寧に提供するお店も存在しました。
そのため、サードウェーブコーヒーの文化は日本の古き良き喫茶店文化に立ち返るものである、
という見方もできるでしょう。

サードウェーブ

これまで、コーヒー通をはじめ一部の上質なコーヒーを提供する店でのみ知られていた
スペシャルティコーヒーの世界に、大手企業が参入したことで改めて
スペシャルティコーヒーに注目が集まっている、それが現代の新しいコーヒームーブメントの
サードウェーブです。

豆の産地を重視し、豆の個性を最大限に引き出す淹れ方までを追求する、
新しいコーヒーカルチャーとして注目されています。

Revel Pix LLC/Shutterstock.com
Revel Pix LLC/Shutterstock.com

「新しい」ムーブメントであるサードウェーブコーヒーにはいくつかの特徴がありますが、
スペシャルティコーヒーについてしっかりとした知識がある今なら、
その特徴も把握しやすいでしょう。

サードウェーブコーヒーの特徴

  • トレーサビリティの明瞭性
  • 自家焙煎による浅煎りが主流
  • シングルオリジンである
  • 土地特有のフレーヴァーを楽しむ
  • ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れるスタイル
  • 豆の個性を最大限に引き出す淹れ方の探求
  • サスティナビリティ(持続性のある取引)による栽培と流通
  • ダイレクトトレード・・・など

トレーサビリティの明瞭性とシングルオリジン

トレーサビリティの明瞭性により生産から消費までの工程が把握できるようになったことで、
シングルオリジンの豆を楽しむ事ができるようになりました。
生産者の顔が見えるコーヒーは、安心と上質さとともに、
ワインのようにその豆や土地特有のフレーバァーを楽しむという、
新しいコーヒーの楽しみ方ができるようになりました。

ダイレクトトレードとサスティナビリティ

これまでコーヒー豆の生産者から消費国のコーヒー会社やコーヒーショップに豆が届くまでには下記のようなルートが一般的でした。
  1. 生産者
  2. 生産国の生産処理業者・生豆輸出会社
  3. 消費国の生豆輸入業者
  4. 消費国コーヒー会社やコーヒーショップ
  5. 消費者
仲介業者の手が入ることで道のりが長くなり、それにともない栽培方法や生産者の不明瞭さ、それにより品質の平凡化と、生産者に対する不当な買い叩きと仲介料などの問題がありました。
それに対して、スペシャルティコーヒーを中心としたサードウェーブが重要視するダイレクトトレードとは、下記のようなルートをたどります。
  1. 生産者
  2. 生産国の生産処理業者/輸出業者
  3. 消費国のコーヒー会社やコーヒーショップ
  4. 消費者

or

  1. 生産者
  2. 消費国コーヒー会社やコーヒーショップ
  3. 消費者
このように、業者と会社、またはコーヒーショップの間でダイレクトトレード(直接取引)を行うことで、仲介業者の手が入らないシステムにより、不当に豆を買い叩かれることなく生産者を守るというシステムを目指しています。

サードウエーブコーヒーの流行はシリコンバレーから

日本で一躍注目を集めたサードウエーブコーヒーの代名詞ともなっている「ブルーボトルコーヒー」ですが、これらのムーブメントはシリコンバレーが近くが発信源となっています。

IT系の人にコーヒーが支持される土壌があり、サンフランシスコでは味やインテリアにこだわったロースタリー付きのコーヒーショップも隆盛を極めていますが、ここではブルーボトルコーヒーとあわせて「Ritual Coffee Roaster」「FOURBARRE COFFEE」「Sightglass Coffee」の4つのコーヒーショップが4大ショップとして特に支持を集めています。

Blue bottle coffee
https://bluebottlecoffee.com/

Ritual Coffee
https://www.ritualroasters.com/

FOURBARREL
http://fourbarrelcoffee.com/

Sightglass Coffee
https://www.sightglasscoffee.com/