Lesson13-2 ブレンディングの実践とブレンドレシピ

ここからは、実際にブレンドを行うための理論を学習していきましょう。
まずは基本となるルールを把握し、基本レシピ通りにブレンディングしてみます。

その後は自由に味の広がりを楽しみ、探求して行きましょう。

ブレンドルール

①ベース豆は全体のバランスがよい豆を選ぶ

初めてブレンドに挑戦する場合には、
全体のバランスがとれた中性的な味をもつ豆を選ぶのが基本です。
例えば、コロンビア、エチオピア、ブラジル産のものなどがこれに当たります。

お店で提供するためのブレンドでは、ベース豆の選定には
「収穫量が多く生産が安定しているもの」という要素も加えるとよいでしょう。

②ブレンドは2種類から始める

ベースとなる豆を決定したら、好みの豆やイメージするテイストに合った豆など、
ブレンドするためのもう1つのコーヒー豆を選定します。
最初はこの2種類のブレンドから始めましょう。
2種類のブレンドが完成したら、そのブレンドにさらにもう1種類ブレンドしてみる、
というように、徐々にブレンドする豆増やしていくと、大きな失敗が少なくなります。

また、数を増やしすぎるとそれぞれの特徴がぼやけてくるため、
多くても5種類程度に留めるとよいでしょう。

③量りを使用して計量する

ブレンディングの豆量の決定は、割合比で行います。
(例:ベース豆:もう1種類=6:4)

この時、計量には量りを用いるのがお勧めです。
メジャーカップで杯数で計算するよりも、量りを利用したほうがブレが少なく、
また味見をしながらブレンディングするのに適している20g(コーヒーカップ1杯分)が
作りやすくなります。

④ブレンド割合比は、偶数が基本

「ベース豆:もう1種類」の比率についてですが、「6:4」や「2:8」など、
豆のブレンド割合比は偶数で計算するようにしましょう。
こうすることで、豆の種類を増やした場合でもブレンドが行い易くなります。

⑤出来上がりの総量が約20gになるように計量する

試作の場合にブレンドする豆の量は、合わせて20gとなるようにします。
これは1回の抽出量ですので、すぐに試飲でき、気に入らないブレンドだった場合にも
ロスが発生しなくなります。

好みのブレンドに仕上がった場合には、その割合比を用いて総量を増やしたブレンドを行います。

⑥豆の状態でブレンドする

ブレンド方法には生豆の状態でブレンドするプレミックスと、
焙煎豆の状態でブレンドするアフターミックスがあります。
それぞれ得意な点と不得意な点があるが、家庭で少量ずつブレンドするのであれば
アフターミックスを行いましょう。
粉の状態でブレンドすることは避けましょう。
いずれにしても豆を挽いてしまうとブレンドでは混ざりにくく、風味が飛んでしまうためです。

⑦焙煎度が近いものをあわせる

豆は焙煎度によって大まかな味の特徴が決まるため、
ブレンドする際も焙煎度を考慮するとよいでしょう。
また豆の状態での色ムラがないため、見た目も美しく仕上がります。
反対に焙煎度が異なると、味のバランスが取りにくくなります。
また比重の違いにより液体が混ざりにくく、カップの中でも味ムラができる可能性があるため、
初めてのブレンドではお勧めできません。

焙煎業者によっては、同じ「深煎り」「中煎り」の表記でも、
焙煎度に微妙な違いがある場合もあります。
そのため、同じ業者から豆を仕入れることも、焙煎度のブレをさらに少なくする
ひとつのポイントです。

ブレンディングが上達してきたら、プロのように焙煎度の違いを活かして、
あえて異なる焙煎度でのブレンドにも挑戦してみましょう。
新しい発見があるはずです。

⑧抽出方法によるブレを抑える

ブレンドした豆をテイスティングするには、抽出方法によるブレを抑える必要があります。
そのため、手順が簡単で味が安定しやすいフレンチプレスによる抽出法がおすすめです。

⑨ブレンドノートを用意する

ブレンディングを行う場合には、ノートを一冊用意しましょう。
ブレンド豆の種類や、割合はもちろん、試飲の抽出方法や豆の焙煎度、
購入した店や焙煎されてからどれくらい経過した豆なのかもあわせ、
できるだけ細かく記載していきます。

これは実践知識として、あなただけの何にも代えがたい財産となります。
蓄積された知識は、次回以降のブレンドを行う際にも非常に役立ちます。

基本のブレンドの手順

  1. ベース豆を選定します。はじめは全体の味のバランスがよいコロンビア、エチオピア、ブラジル産のものがお勧めです。
  2. ベース:好みの豆=6:4の割合でブレンドし、試飲します。
  3. ベース:好みの豆=4:6の割合でブレンドし、試飲します。
  4. ②と③で好みだった方を選び、ベース:好みの豆=2:8の割合でブレンドを試してみます。
  5. 好みのブレンドができあがったら、ブレンドノートに記録します。他の人にも試してもらい、感想などをもらうとよいでしょう。

3種類以上のブレンド手順

ブレンドする豆の数を増やす場合には、ゼロベースで配合の割合を考えるのではなく、
基本のブレンドですでに完成したブレンド豆に1種類ずつ足していくようにします。

  1. 2種類の豆を好みの割合でブレンドした豆をマイブレンドベースAとします。例えば基本のブレンドでできた好みのブレンドが<コロンビア:グアテマラ=4:6>だとしたら、それをベースAとします。
  2. マイブレンドベースAに新しい豆をブレンドしていきます。例えばケニアを加える場合、<マイブレンドベースA:ケニア=6:4>などから始めるとよいでしょう。ブレンドしたら、試飲して味やフレーバーを確かめます。
ブレンディング

さらなる上級ブレンディングに挑戦する

この手順により、いくつかのマイブレンドが出来てきたら、
特徴が似た豆同士を置き換えてみましょう。
例えば、ベース豆のコロンビアをブラジルやエチオピアに変えるだけでも、
ブレンドによる味の違いや面白さがわかるようになります。
これだけでブレンドの幅が広がり、プロのブレンディングに一歩近付きます。

まず最初は、ブレンドによる味の違いを自分の五感を使って実感すること、
その面白さを感じることが大切です。
好みのブレンド比が完成したら、多めの豆をその配合でブレンドしておきます。
こうすることで、いつでもすぐにマイブレンドが楽しめます。
この場合、豆をまんべんなくブレンドすることが重要です。
ブレンドする量にもよりますが、一度に抽出する豆がどこからとっても同じ割合になるように、
しっかり混ぜておきましょう。

ブレンドレシピ

大まかな味の決定

ブレンディングの際にはまず、どのような味にするかをざっくりと決めましょう。
これに従って、チョイスする豆の焙煎度を決定します。

  • 飲みやすいブレンドにしたい・・・浅煎り
  • 香りと酸味を楽しみたい・・・中煎り
  • コクと苦味を楽しみたい・・・深煎り

中煎りブレンドレシピ

ブレンド豆:ブラジル

親しみやすさと飲みやすさを兼ね備えているブラジル豆の中煎りをベースにしてみましょう。
入手性の良さなども使いやすい要素の1つです。

ブレンド①
ブレンド②

深煎りブレンドレシピ

ブレンド豆:グアテマラ

甘味と酸味、苦みのバランスがよいグアテマラ産を用います。
深煎り豆のブレンドベースとして活用しやすい豆です。

ブレンド④

さらなるブレンド技術の向上のために

まずは沢山実践する

ブレンド技術に必要なのは、基本の理論と実践の数です。
むやみなブレンディングでは意味がありませんので、基本にそってブレンドを行い、
しっかり記録を付けていきましょう。
またカッピングの知識も応用し、自分のブレンドの特徴をしっかり把握することも大切です。

ビーンズショップや専門店で研究してみる

他の人のブレンドを味わったり、ブレンドのコツを聞いてみることも
技術向上のための大きな糧となります。
気になったブレンドがあったら、ぜひお店の人に話を聞いてみましょう。
ブレンドや配合について、よき相談相手となってくれる場合もあります。

自分の作ったブレンドを人に飲んでもらう

自分のためのブレンドから、誰かに飲んでもらうためのブレンドへの移行は大きなステップアップです。味覚は個人差が大きい感覚の1つなので、思いがけない意見をもらうこともでき、
新しいブレンドのきっかけにもなります。