プレミックス・アフターミックスとは?
ブレンド方法には生豆の状態でブレンドするプレミックスと、
焙煎豆の状態でブレンドするアフターミックスがあります。
それぞれ必要な工程やかかる手間、得意不得意があり、
目的に合わせてどちらにするか選択することが大切です。
ホームブレンドではアフターミックスが基本となります。
これはアフターミックスのデメリットである大規模な設備では少量ずつを焙煎できない、
という点がホームブレンドでは考慮する必要がなく、
自由度の高さによるメリットの享受が大きいためです。
一方で、カフェやビーンズショップではそれぞれのメリット・デメリットをしっかり把握した上で、
ブレンドする豆に合わせて柔軟に方法を変えることも必要となるでしょう。
それぞれしっかり学習しておきましょう。
プレミックスのメリット・デメリット

メリット
①必要な道具や手間が少ない
生豆を決まった配合比率にブレンドしてしまえば、
あとは焙煎中にまんべんなくブレンドされるため、アフターミックスに必要な
まんべんなく豆を撹拌する機械などが必要ありません。
多量な豆のブレンドを行う際にも、必要な道具や手間が少なくて済みます。
②豆の焙煎特徴が同じであれば、必要な工程が少ない
豆の温度の上がり方、焙煎が完了する温度が同じ豆ブレンドする場合には、
プレミックスでブレンドすることでそれぞれ個別に焙煎する必要がなく、
工程をぐっと減らすことができます。
さらに全体の焙煎度も均一になるため、完成度も高くなるというメリットがあります。
③配合量が少ない豆があってもOK
ブレンドに配合する量が少ない豆がある場合(例・A豆:B豆:C豆:D豆=3:3:3:1)、
事前に焙煎を行うアフターミックスでは、使用量が少ない豆は
焙煎後の在庫期間が長くなってしまう場合があります。
プレミックスなら生豆のまま保存しておくことができるため、
配合量が少ない豆があるブレンドにも挑戦することができます。
専門店の焙煎は焙煎機で多量に行うために少量ずつの焙煎が困難なため、
配合量が少ない豆をブレンドしたい場合にはプレミックスのほうが適しているでしょう。
デメリット
自由度が低い
豆の種類ごとに焙煎温度の上がり方や焙煎度を変えることができないプレミックスでは、
同じ焙煎度で仕上げる豆をブレンドする必要があるため、
ブレンドの幅にはある程度制限が出てきます。
アフターミックスのメリット・デメリット

メリット
①表現できる味やブレンドの自由度が高い
豆の特徴を最大限に活かす個別焙煎を行えるので、どんな豆同士のブレンドも可能となります。
これにより、ブレンドで表現できるバリエーションの自由度が高く、制限がありません。
②焙煎度の異なる豆の特徴を生かしたブレンドが行える
中煎りの豆に深煎りに苦味やコクを加えたい場合など、
焙煎度の違いを生かしたブレンドはアフターミックスにしかできない方法です。
③色ムラの少ないブレンドが作れる
色ムラがないブレンドを作ろうと場合、それぞれの豆を目的の色に焙煎するためには、
個別に焙煎する必要があります。
プレミックスでは、生豆の成分が一定でないために熟練した専門家でも色ムラが出やすくなりますが、アフターミックスなら個別に目的の色まで焙煎できるので、
色ムラが少ない見た目にも美しいブレンドが完成します。
デメリット
①工程が複雑で手間やコストがかかる
生豆の計量や焙煎を豆ごとに個別に行う必要があるので、
大規模な設備で焙煎を行う専門店や企業にとっては、アフターミックスは手間やコストがかかります。
また、焙煎後の計量、それぞれの豆が均等に混ざるようにブレンダーにかける必要があるなど、
工程の複雑さも考慮が必要な点です。
②少量しか使用しない豆でも焙煎する必要があり、在庫期間が長くなる
ブレンドに少量しか使用しない豆がある場合、個別に焙煎を行うアフターミックスでは、
その豆の焙煎後の在庫期間が長くなり、酸化や劣化が起こる可能性があります。
③割れ豆や欠け豆などの選別が必要となる
ブレンダーで焙煎豆を混ぜると、豆が割れる割れ豆や欠け豆などが出てきます。
これらにより全体としての見栄えが悪くなり、割れ豆や欠け豆を取り除く手間が発生します。
プレミックスとアフターミックスの選択方法
アフターミックスは工程が多く手間がかかるため、
こちらのほうが美味しいと言われる事が多いようですが、
ここまで学習したような特徴を正しく把握すれば、目的を明確にし、
それに合わせた方法を選択することが、プロフェッショナルとしての「効率性」も重視できる
ベストチョイスだということがお分かり頂けるでしょう。
ブレンドの方法をアフターミックスにするかプレミックスにするかは、
どのようなブレンドをしたいかをきちんと考えてから選ぶようにしましょう。
まずはプレミックスから検討する
アフターミックスにするための特別な目的がない場合には、
まずはプレミックスから検討するとよいでしょう。
バリエーションの自由度に関してはアフターミックスのほうが優れていますが、
豆の種類や配合量、温度の上がり方や焙煎度を工夫すれば、
プレミックスでも様々なブレンドを作ることができます。
プレミックスとアフターミックスを組み合わせる
プレミックスではイメージ通りのブレンドが完成しない場合、
プレミックスとアフターミックスを組み合わせるという方法もあります。
豆を全て個別に焙煎せずに、温度の上げ方や焙煎度が近しいものをグループ分けすることによって、
無駄な手間を省き効率的に表現できるバリエーションの幅を広げることができます。

